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哀色夜伽草紙
第8章 突然降りた幕
これは一体何の会なのか分からないで座ったが、すぐにこれが親族の顔合わせの会なのだと気が付いた。

そのまま食事会が進むにつれ、元山さんの優秀さを現すエピソードをいくつも聞かされ、彼女が長谷川家と縁のある取引先の経営者のお嬢様だということはよくわかった。

「歳の頃もちょうど良いしな、仲良くできそうじゃないか」

そうか、これは壱くんと元山さんの顔合わせなのだ。

顔面蒼白になりながらも場を壊すことも出来ずにいると、壱くんがナイフを置いた。

「じいさん、何考えてるかわからないけどオレは失礼するよ。琴莉、行くぞ」

「壱、座りなさい」

おじいちゃんが珍しく硬い顔をした。

「食事を中断など許さないぞ」

睨みつけるように壱くんを見たおじいちゃん。そんな顔は初めて見た。

それを見て一瞬思案していたようだが、壱くんは応じて座った。

「わかった、じゃあ食べ終わったらオレは帰る」

憮然とした表情で座り直した壱くんをハラハラしながら見守った。

食事も進み、デザートが来る前のタイミングでスミカ伯母さんに着物を直したいから少し手伝ってと、呼ばれて離席する。

レストルームで伯母の荷物を持っていると、伯母はこちらを見ないで冷たく言い放った。

「琴莉、一刻も早く壱から離れなさい」

何となく言われるだろうとは思っていた。
これが婚約者同士の顔合わせならば、私は邪魔者だ。

わかっていて敢えて聞くのは、ズルいだろうか。

「なぜ?スミカ伯母さん」

「壱は長谷川家の跡取りで、後ろ盾のある婚約者も必要なの。あの子は貴女とは血が近すぎるし、従兄妹同士だなんてだめよ……分かったでしょう?」

あくまでも従兄妹だからと主張するのは私が知らないとでも思っているのだろうか。

「従兄妹なら結婚できるはずですよね、本当に従兄妹なら」

私の言葉に伯母の顔が青くなる。

「何を言ってるの琴莉、確かに従兄妹の結婚は法律上は認められているわよ?だけど、私や義父さまは反対なのよ、やはり血が近いわ」

誤魔化すのは壱くんが貴方たち二人の罪の子だからでしょう?

「勝手だわ」

思わず口から恨み言が出てしまう。
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