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哀色夜伽草紙
第8章 突然降りた幕
その後、あれ程の怒りと悲しみの中抱かれた事が嘘のように壱くんは優しかった。

出張から数週間、羽田くんの事も気になりつつも、壱くんとの曖昧にした関係をそろそろ終わりにするべきか悩んでいたその矢先に大人たちの事情が電話がそれを強引に変えていく事になった。

珍しくおじいちゃんから壱くんが食事に呼び出された。
ドレスコードがセミフォーマルだと言われ、壱くんにはと、ダークグレーのスーツにバーガンディのネクタイを選んで着てもらうと、とても似合うし、素敵だった。

それを見送り、壱くんが出かけてから一人で留守番をしていた私に母から連絡がきた。

イイものを食べに行くから少しちゃんとした格好でいらっしゃいとの事だったので


仕方なく、ネイビーでスカーフ柄のあしらわれたプリーツスカートで上は半袖のレースになっているワンピースを着ていった。

都内にある老舗の一流ホテルのラウンジで待ち合わせると、母ではなく若草色の訪問着姿の伯母がきた。

「伯母さんこんにちは……あれ、お母さんは?」

気まずい感じで向き合うと、伯母はにこりともせずに私を促した。

「もう上に居るわ。ついてらっしゃい」

その上階にあるレストランへ連れて行かれた。

するとそこには母と伯父、おじいちゃん、壱くん、そして……

「元山さん」

先日札幌支社で会った元山さんがそこにいた。

「先日はどうも、今度こちらに帰ってくるんです。宜しくね琴莉さん」

「おお琴莉良く来たな」

おじいちゃんは嬉しそうに笑う。

「久しぶりおじいちゃん……あの、一体?」

何故このメンバーなのか分からずに困惑してしまう。

しかも無表情の壱くんに笑顔で話しかけている元山さんの、彼女の『女』を覗かせる表情にぞくりと悪寒が走る。

「オレはもういいよね?」

不愉快そうに壱くんが言うと、おじいちゃんは壱くんの肩をたたいて座らせた。

「とにかく座りなさい。まだ食事も来ていないぞ。琴莉、お前も座りなさい」

「はい」

元山さんの隣には品の良い和服姿のご夫婦がいて、
おじいちゃんの席まるで議長みたいに端にセッティングされている。

そして伯父、伯母の隣の壱くん、その隣に母、私は母の隣に座ることになった。

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