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哀色夜伽草紙
第7章 幻と現実

出張先では事前になるべくしっかりと準備をしていったお陰で、滞りなく打ち合わせに入れた。
データだけならば特に赴く必要もないのだけれど、対面で話すと違う面も繋がるような気がするから不思議だ。
無事札幌支社への東京で集めたマーケティング資料とソフトなどを届けられた。
打ち合わせが終わり片付けていると、なぜ私が呼ばれたのかと言う話を、井坂課長が札幌支社のマーケティング課の保科課長とがしていた。
それをそっと聞いていると、どうやら担当者の指名だったらしい。
「ウチの営業担当がどうしても笹木さんがと言うもんで……ああ、元山!こっちきて」
保科課長が声を掛けたのは真っ黒なストレートロングヘアに抜けるような白い肌に赤い唇をした目の大きな可愛らしい女性だった。
近づいてくると私と井坂課長に頭を下げてから保科課長に声をかけてきた。
「お呼びですか」
「ほら、ご指名の笹木さんだぞ挨拶しとけ」
元山さんは深々と頭を下げると私を真っ直ぐにやや好戦的な視線で見てきた。
「元山マユと申します。貴女が笹木さん……」
「はい、笹木琴莉と申します」
なぜ私を見てそんなに冷ややかなのか分からない。
知っている人ではない筈だ。
「元山は本社からこちらに出向中なんですが、どうやら同学らしいですよ、笹木さんと」
保科課長に言われて驚いて顔を見てしまう。
「とは言っても面識はないんです。中学、高校と大学も先輩なんです笹木さんが……」
「えっ、全部同じなんですか?それは偶然ですね」
特にエスカレーターだった訳でも有名校だった訳でもないのでびっくりしてしまった。
しかも同じ会社って……出来過ぎてない?
「はい、そうですね。お会いしたいと思ってたので嬉しいです」
嬉しいと口で言いながら口許は上がっているが、全く目が笑っていないのは気のせいではないだろう。
「はぁ、有難うございます」
何だか読めない人だ。と思いながら会話を続けた。
データだけならば特に赴く必要もないのだけれど、対面で話すと違う面も繋がるような気がするから不思議だ。
無事札幌支社への東京で集めたマーケティング資料とソフトなどを届けられた。
打ち合わせが終わり片付けていると、なぜ私が呼ばれたのかと言う話を、井坂課長が札幌支社のマーケティング課の保科課長とがしていた。
それをそっと聞いていると、どうやら担当者の指名だったらしい。
「ウチの営業担当がどうしても笹木さんがと言うもんで……ああ、元山!こっちきて」
保科課長が声を掛けたのは真っ黒なストレートロングヘアに抜けるような白い肌に赤い唇をした目の大きな可愛らしい女性だった。
近づいてくると私と井坂課長に頭を下げてから保科課長に声をかけてきた。
「お呼びですか」
「ほら、ご指名の笹木さんだぞ挨拶しとけ」
元山さんは深々と頭を下げると私を真っ直ぐにやや好戦的な視線で見てきた。
「元山マユと申します。貴女が笹木さん……」
「はい、笹木琴莉と申します」
なぜ私を見てそんなに冷ややかなのか分からない。
知っている人ではない筈だ。
「元山は本社からこちらに出向中なんですが、どうやら同学らしいですよ、笹木さんと」
保科課長に言われて驚いて顔を見てしまう。
「とは言っても面識はないんです。中学、高校と大学も先輩なんです笹木さんが……」
「えっ、全部同じなんですか?それは偶然ですね」
特にエスカレーターだった訳でも有名校だった訳でもないのでびっくりしてしまった。
しかも同じ会社って……出来過ぎてない?
「はい、そうですね。お会いしたいと思ってたので嬉しいです」
嬉しいと口で言いながら口許は上がっているが、全く目が笑っていないのは気のせいではないだろう。
「はぁ、有難うございます」
何だか読めない人だ。と思いながら会話を続けた。

