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哀色夜伽草紙
第6章 怖がりのキミ

翌朝はまだ頭がぼーっとしていたが、どうやら少し熱は引いたような感じがした。
ゆっくりと体を動かしてそっと立ち上がろうとすると、動きを重いものに阻まれた。
(ん?)
よく見ると壱くんが私を抱きしめて寝ていたのだ。
長い脚が私を挟み込んでいて、それで身動きが取れないのだった。
「ん……どした?」
私の動きを察知したのか、壱くんが声をかけてきた。
「おはよ、喉乾いたし、あとおトイレ……」
「何か持ってきてやろうか……それより立つの手伝うか」
お母さんみたいに言われてしまうが……この場合仕方ない。
すっかり安心して壱くんにあれこれ甘えてしまう。
「うん」
支えられて立ち上がると、まだ少しフラフラした。
「歩けるか?」
「大丈夫か……な」
1歩踏み出せば少しぐらつくから、まだ完全に熱は去っていないようだった。トイレまで支えられて扉を開くと、壱くんはまだこちらを見ていた。
「扉閉めるよ?」
「無理すんな、見ててやるよシてるとこ」
閉めようとした私にニヤニヤしながら言うのでバカと言い放つ。それでも
「見せてくれていいのに」
なんて言うものだから困っちゃう。
そんな恥ずかしい所見せられない……
また扉からゆっくりと支えられてベッドに戻ると白湯も貰って飲めば喉にスーっと液体が通っていき、気持ちが良かった。
体温計を計ると38℃で、まだ下がりきってはいないようだ。
「今日は在宅だから、会社休んでゆっくりしてろよ?あ、そうだ井坂さんに休みの連絡しといてあるから」
「ありがと……ごめん」
「なにが」
壱くんに迷惑かけてばかりだ、情けなくて下を向くと、手を添えてゆっくり横たえられた。
「今はゆっくり休むこと」
「ごめんなさい……」
「ごめんより『壱くん大好き』の方が嬉しいけど?いいから寝てなさい」
壱くんは戯けて言う。
嫌われたくないまだ離れたくない、今はまだ。
そんな気持ちで手をぎゅっと握ると、こちらを真っ直ぐ見た壱くんが甘い声で言う。
「余計なこと考えない。琴莉はオレの全てなんだから」
「壱くん……」
本当に?これは幻じゃなくて?
ゆっくりと体を動かしてそっと立ち上がろうとすると、動きを重いものに阻まれた。
(ん?)
よく見ると壱くんが私を抱きしめて寝ていたのだ。
長い脚が私を挟み込んでいて、それで身動きが取れないのだった。
「ん……どした?」
私の動きを察知したのか、壱くんが声をかけてきた。
「おはよ、喉乾いたし、あとおトイレ……」
「何か持ってきてやろうか……それより立つの手伝うか」
お母さんみたいに言われてしまうが……この場合仕方ない。
すっかり安心して壱くんにあれこれ甘えてしまう。
「うん」
支えられて立ち上がると、まだ少しフラフラした。
「歩けるか?」
「大丈夫か……な」
1歩踏み出せば少しぐらつくから、まだ完全に熱は去っていないようだった。トイレまで支えられて扉を開くと、壱くんはまだこちらを見ていた。
「扉閉めるよ?」
「無理すんな、見ててやるよシてるとこ」
閉めようとした私にニヤニヤしながら言うのでバカと言い放つ。それでも
「見せてくれていいのに」
なんて言うものだから困っちゃう。
そんな恥ずかしい所見せられない……
また扉からゆっくりと支えられてベッドに戻ると白湯も貰って飲めば喉にスーっと液体が通っていき、気持ちが良かった。
体温計を計ると38℃で、まだ下がりきってはいないようだ。
「今日は在宅だから、会社休んでゆっくりしてろよ?あ、そうだ井坂さんに休みの連絡しといてあるから」
「ありがと……ごめん」
「なにが」
壱くんに迷惑かけてばかりだ、情けなくて下を向くと、手を添えてゆっくり横たえられた。
「今はゆっくり休むこと」
「ごめんなさい……」
「ごめんより『壱くん大好き』の方が嬉しいけど?いいから寝てなさい」
壱くんは戯けて言う。
嫌われたくないまだ離れたくない、今はまだ。
そんな気持ちで手をぎゅっと握ると、こちらを真っ直ぐ見た壱くんが甘い声で言う。
「余計なこと考えない。琴莉はオレの全てなんだから」
「壱くん……」
本当に?これは幻じゃなくて?

