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哀色夜伽草紙
第1章 初めてのヒト

「ふざっけんな!」
ものすごい勢いで声が飛んできて私にしつこくしてきた男子生徒が仰け反った。
「何すんだよっ」
「その子に触るな」
気付けば目の前に壱くんが来ていて、私からその男子生徒を引き剥がすと後ろに突き飛ばしたようだった。
「は?なんだテメェ……」
飛ばされ、不快な声を出した男子生徒が威嚇しようとしたみたいだったがすぐに顔が歪む。
「視界から消えろ」
壱くんの聞いたことないような低い声が響き、どうやら睨みつけたようだった。しかもそのままグイッと首を絞める動作をして相手を抑えつけるともう一度言った。
「消えなきゃシメるぞ」
「あ……やめろって!わかった、わかった」
壱くんの言葉に慌てて男子生徒が手をバタバタとさせたのを見て、壱くんが拘束を解いた。
駆け出す男子生徒がどうやら走り去ったようだ。
そのあとすぐに私を抱き起こして腕の中にぎゅっと抱きしめて、ポンポンと背中を叩いてくれた壱くんに……怖くて夢中でしがみついた。
「壱くん……」
「大丈夫、大丈夫、オレがついてるよ」
優しく囁いてくれる言葉がもっと聞きたくてギュッと胸に顔を埋めて抱きつくと、壱くんも抱きしめ返してくれた。
「大丈夫だ、琴莉……」
大丈夫と言いながら抱きしめられ、そのまま暫くいたけれど、急に壱くんが私を抱き上げた。
「えっ、な、なに?」
「送るよ家まで」
恥ずかしくて身体を捩って降りようとしたのにしっかりと横に抱きかかえられてしまい動けない。
「降ろして!大丈夫、歩けるから!」
しかもとても苦しそうな顔をした壱くんの顔が見えて私まで苦しくなってしまう。
「ダメだ、こんなに震えてるのに歩かせられるかよ」
言われてみれば確かに自分の手は手足がふるふると震えていたから、一人では立てないかもしれない。
「壱くん……」
思わず見上げたその顔はとても青ざめているのに何処か大人びていてびっくりした。
「琴莉の事、今まで以上に大事にする」
壱くんは呟くように私に言った。
ものすごい勢いで声が飛んできて私にしつこくしてきた男子生徒が仰け反った。
「何すんだよっ」
「その子に触るな」
気付けば目の前に壱くんが来ていて、私からその男子生徒を引き剥がすと後ろに突き飛ばしたようだった。
「は?なんだテメェ……」
飛ばされ、不快な声を出した男子生徒が威嚇しようとしたみたいだったがすぐに顔が歪む。
「視界から消えろ」
壱くんの聞いたことないような低い声が響き、どうやら睨みつけたようだった。しかもそのままグイッと首を絞める動作をして相手を抑えつけるともう一度言った。
「消えなきゃシメるぞ」
「あ……やめろって!わかった、わかった」
壱くんの言葉に慌てて男子生徒が手をバタバタとさせたのを見て、壱くんが拘束を解いた。
駆け出す男子生徒がどうやら走り去ったようだ。
そのあとすぐに私を抱き起こして腕の中にぎゅっと抱きしめて、ポンポンと背中を叩いてくれた壱くんに……怖くて夢中でしがみついた。
「壱くん……」
「大丈夫、大丈夫、オレがついてるよ」
優しく囁いてくれる言葉がもっと聞きたくてギュッと胸に顔を埋めて抱きつくと、壱くんも抱きしめ返してくれた。
「大丈夫だ、琴莉……」
大丈夫と言いながら抱きしめられ、そのまま暫くいたけれど、急に壱くんが私を抱き上げた。
「えっ、な、なに?」
「送るよ家まで」
恥ずかしくて身体を捩って降りようとしたのにしっかりと横に抱きかかえられてしまい動けない。
「降ろして!大丈夫、歩けるから!」
しかもとても苦しそうな顔をした壱くんの顔が見えて私まで苦しくなってしまう。
「ダメだ、こんなに震えてるのに歩かせられるかよ」
言われてみれば確かに自分の手は手足がふるふると震えていたから、一人では立てないかもしれない。
「壱くん……」
思わず見上げたその顔はとても青ざめているのに何処か大人びていてびっくりした。
「琴莉の事、今まで以上に大事にする」
壱くんは呟くように私に言った。

