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哀色夜伽草紙
第1章 初めてのヒト

私と壱くんは3つ違い。
壱くんは私の母の兄の息子、つまり私たちは従兄妹同士に当たる。
母と伯母は義理の姉妹だが、まるで本当の姉妹のように仲が良かったし、家が近いこともありよく二人は私たちを会わせては遊ばせていた。
壱くんの家族は祖父母と母の実家に住んでいて、母は息抜きによく実家に帰ってきていたのだと今なら分かるわけだが、とにかく家族ぐるみで仲が良かった。
二家族と祖父母で買い物に行ったり、長期休みには旅行に行ったり、花火大会に行ったり。
気付けばいつの思い出にも一人っ子同士の私たちがまるで兄妹のように一緒にいたのだ。
あの頃の壱くんはどう思っていたかは分からない。
けれど、仲の良いお兄ちゃんだった壱くんを、私はずっと男の子として好きだった。
壱くんは日本人にしては珍しいブルーグレイの大きな切れ長の目で、高い鼻や少しふっくらした唇をしているので、見た目はまるで美少女のように美しい男性だ。
その容姿だけでも人気なのに、頭も良くてスポーツもそこそこ出来て、小学校でも中学校でもずっと注目の的だった。
高校からは男子校に通ったが、近隣の女の子たちからモテまくっていて、それを私は隅の方から見ていた。
それを……
「琴莉、こっちにおいで」
と、にこやかに呼んでくれていたのが壱くんだった。
「可愛い琴莉」
その頃の壱くんはいつもそう言ってくれていたけれど、それが恋だったのかはわからない。
そんな二人の関係が変わったのは私が高校生になってからだった。
壱くんは大学に進学し、私は高校に入学したての頃、自宅の最寄りの駅で男の人に声をかけられた事がある。
「キミ可愛いじゃん、どこに住んでるの?あー、そうだ、まだ時間早いから遊びに行こうよ!みんな居るからさ」
「止めてください!」
無理矢理手首を掴まれて、それを振りほどこうとするとニヤニヤ笑う男子生徒はそれを許さなかった。
「えー、いいじゃん楽しもうよ」
「楽しみたくないです、離して!」
強い力に足が浮いた。そのまま引き摺られるようになってしまい、怖くて止めてと地面に向かって叫ぶと急に手首が離れた。
壱くんは私の母の兄の息子、つまり私たちは従兄妹同士に当たる。
母と伯母は義理の姉妹だが、まるで本当の姉妹のように仲が良かったし、家が近いこともありよく二人は私たちを会わせては遊ばせていた。
壱くんの家族は祖父母と母の実家に住んでいて、母は息抜きによく実家に帰ってきていたのだと今なら分かるわけだが、とにかく家族ぐるみで仲が良かった。
二家族と祖父母で買い物に行ったり、長期休みには旅行に行ったり、花火大会に行ったり。
気付けばいつの思い出にも一人っ子同士の私たちがまるで兄妹のように一緒にいたのだ。
あの頃の壱くんはどう思っていたかは分からない。
けれど、仲の良いお兄ちゃんだった壱くんを、私はずっと男の子として好きだった。
壱くんは日本人にしては珍しいブルーグレイの大きな切れ長の目で、高い鼻や少しふっくらした唇をしているので、見た目はまるで美少女のように美しい男性だ。
その容姿だけでも人気なのに、頭も良くてスポーツもそこそこ出来て、小学校でも中学校でもずっと注目の的だった。
高校からは男子校に通ったが、近隣の女の子たちからモテまくっていて、それを私は隅の方から見ていた。
それを……
「琴莉、こっちにおいで」
と、にこやかに呼んでくれていたのが壱くんだった。
「可愛い琴莉」
その頃の壱くんはいつもそう言ってくれていたけれど、それが恋だったのかはわからない。
そんな二人の関係が変わったのは私が高校生になってからだった。
壱くんは大学に進学し、私は高校に入学したての頃、自宅の最寄りの駅で男の人に声をかけられた事がある。
「キミ可愛いじゃん、どこに住んでるの?あー、そうだ、まだ時間早いから遊びに行こうよ!みんな居るからさ」
「止めてください!」
無理矢理手首を掴まれて、それを振りほどこうとするとニヤニヤ笑う男子生徒はそれを許さなかった。
「えー、いいじゃん楽しもうよ」
「楽しみたくないです、離して!」
強い力に足が浮いた。そのまま引き摺られるようになってしまい、怖くて止めてと地面に向かって叫ぶと急に手首が離れた。

