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哀色夜伽草紙
第5章 狂った時計

気づけば目の前の壱くんのハンバーグが無くなっているので、私も慌てて残りを食べた。
美味しいはずなのに味なんてよくわからなかったけれど、この空気に耐えきれずに必死で食べた。
そして私が食べ終わるのを見計らって壱くんが伝票を掴み立ち上がった。
「出よう、琴莉」
一刻も早くここから出たい。そんな空気を醸し出しいたので従う。
「うん」
会計をして、入り口を出たその時だった。
「壱!」
店先で伯母さんが壱くんを呼び止めた。壱くんは振り向きもせずに返事をした。
「何?母さん」
その背中に伯母が小さくつぶやいた。
「…私は反対よ……琴莉は可愛いわ、姪だもの。すごく可愛い。でも貴方のお嫁さんとしては認められない。従兄弟同士なんて血が近くてダメよ」
伯母は優しい口調とは裏腹に厳しい視線で壱くんと私を見た。まるで睨むようだ。
(怖い……)
ピリピリとした空気が流れて、身体が固まる。伯父は中に居たまま出てこなかったからこの事には気づいていないのだろうか?
きっとそうだろう。
母が息子に小言でも言いに言った……そんな意識なのかもしれない。
くるりと向きを変えた壱くんが唇を歪めて伯母を見た。
蔑むような視線にドキリとしてしまう。
「母さんが自分の罪を隠したいのは分かるけど、それはオレと琴莉には関係ない事だよ。オレたちは従兄弟だから何の問題もない。従兄弟同士の結婚は問題ないはずだよ、そうでしょう?母さん」
「壱、貴方何を…」
壱くんが伯母さんに今度は綺麗な三日月型の微笑みを見せた。
うっとりするほど美しく、甘い目つきで……
「ずっと前から知ってたよ、母さん」
伯母さんが息を飲み固まる。
驚きで身体が硬直しているようだ
美味しいはずなのに味なんてよくわからなかったけれど、この空気に耐えきれずに必死で食べた。
そして私が食べ終わるのを見計らって壱くんが伝票を掴み立ち上がった。
「出よう、琴莉」
一刻も早くここから出たい。そんな空気を醸し出しいたので従う。
「うん」
会計をして、入り口を出たその時だった。
「壱!」
店先で伯母さんが壱くんを呼び止めた。壱くんは振り向きもせずに返事をした。
「何?母さん」
その背中に伯母が小さくつぶやいた。
「…私は反対よ……琴莉は可愛いわ、姪だもの。すごく可愛い。でも貴方のお嫁さんとしては認められない。従兄弟同士なんて血が近くてダメよ」
伯母は優しい口調とは裏腹に厳しい視線で壱くんと私を見た。まるで睨むようだ。
(怖い……)
ピリピリとした空気が流れて、身体が固まる。伯父は中に居たまま出てこなかったからこの事には気づいていないのだろうか?
きっとそうだろう。
母が息子に小言でも言いに言った……そんな意識なのかもしれない。
くるりと向きを変えた壱くんが唇を歪めて伯母を見た。
蔑むような視線にドキリとしてしまう。
「母さんが自分の罪を隠したいのは分かるけど、それはオレと琴莉には関係ない事だよ。オレたちは従兄弟だから何の問題もない。従兄弟同士の結婚は問題ないはずだよ、そうでしょう?母さん」
「壱、貴方何を…」
壱くんが伯母さんに今度は綺麗な三日月型の微笑みを見せた。
うっとりするほど美しく、甘い目つきで……
「ずっと前から知ってたよ、母さん」
伯母さんが息を飲み固まる。
驚きで身体が硬直しているようだ

