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哀色夜伽草紙
第4章 2人のカンケイ
続く衣擦れ、水音、ありえない二人の秘め事のリアルな音に混乱してしまい、悲しいのか虚しいのか感情がグシャグシャで……ショックで涙が出てきた。

優しいおじいちゃんがおばあちゃんと仲良かったあのおじいちゃんが?

なんで?……伯母さんと?


それでもこの場を離れなくてはと、なんとか2階に帰ろうと身体を翻すと……

「あっ」

「(シッ…)」

すぐ後ろにいた壱くんにぶつかってしまい、ぎゅっと抱き止められた。

私が立ち尽くしている間に、降りてきていたようだ。

壱くんに支えられながらノロノロと静かに2階に戻ったけれど、何となく気まずくて壱くんと目を合わせられなかった。

すると壱くんが私を胸の中に引き寄せてぎゅっとキツく抱き締めた。

「ごめん、びっくりしたよな?」

「うん……なんで?」

何でなんて壱くんに聞いたって仕方ないのに聞かずにはいられなかった。


「何でだろうなぁ……もう長いことあの二人は『ああ』なんだよ」

その諦めたような呆れた顔にまさかと思うが聞いてしまった。

「まさか……壱くんは知ってたの?」

「ああ。前から知ってた」

苦虫を潰したような顔で呟いた。

「え……」

(前からって……いつから?)

「それに……」

その時、壱くんが信じられない言葉を発した。

「オレが生まれる前からだってさ、オレが生まれたのも……」

壱くんは片側だけ唇を引き上げて自嘲気味に笑った。そんなに前からの関係って、じゃあ壱くんは……私の……

「嘘よね?……嘘でしょ?壱くん!だって、だって……それじゃあ私たちっ」

絶望的な想いで見上げると壱くんは唇を三日月のように優しく綺麗な弧を描くように引き上げて微笑んだ。


「大丈夫だ、琴莉を離すつもりなんてない。琴莉はオレにとってこの世でたった一人の……宿命のヒトだから」

「壱くん……」

あの時から私たちは秘密を知りながら、隠して生きてきた。

そして、その秘密が私が描いていたお伽噺を狂わせて、大人たちを狂わせて行ったのだ
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