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哀色夜伽草紙
第4章 2人のカンケイ

二人には何の憂いもない。
壱くんに愛されて、私も壱くんが大好きでこのまま二人は一緒になって生きていくんだろうななんて考えていた。
そう、お伽噺のように。
けれど実はそれが欺瞞に満ちた世界が作った歪な関係だと気付いたのは……
私が大学生の時だった。
その頃壱くんとは、会う度に親たちの目を盗んでセックスをするようになっていた。
そんなとある秋の日、私は見てしまったのだ。
その日も下の階に祖父が居たのは知っていたけれど、声を口に当てたタオルで押し殺して、隠れて二人で抱き合って楽しんでいた。
2度果てた後、壱くんは疲れていたのか珍しくクークーと可愛らしい寝息を立てて寝てしまったから
私はこっそり部屋を抜け出して、飲み物でも貰おうと足音を立てずに階下へ行くために階段をゆっくり降りた。
すると、階段を降りきった所、廊下の始まりで
「ダメ……ん……」
(え……)
耳に飛び込んできたのは女性の、アノ声……快楽に喘ぐはしたない声だったのだ。
びっくりして立ち止まる。
今日、1階には祖父しか居ないはずだ。一体……誰の声?
そっと耳を澄ますと
「こっちへ来なさい……」
男性の声がそう言った。
(この声は……おじいちゃん?)
「……ぁっ…んんっ」
続いて女性の嬌声が響くとおじいちゃんらしき男性の声が名前を呼んだ。
「スミカ……イキなさい」
その名前はよく知っている名前だった。
耳が聞くのを拒否したいのに、体が動かなかった。
逃げなくてはと思うのに動けずに階段の前の廊下で立ち尽くす。
そして、何度もおじいちゃんがスミカと、伯母の名前を呼ぶのをただ呆然と聞いていた……
壱くんに愛されて、私も壱くんが大好きでこのまま二人は一緒になって生きていくんだろうななんて考えていた。
そう、お伽噺のように。
けれど実はそれが欺瞞に満ちた世界が作った歪な関係だと気付いたのは……
私が大学生の時だった。
その頃壱くんとは、会う度に親たちの目を盗んでセックスをするようになっていた。
そんなとある秋の日、私は見てしまったのだ。
その日も下の階に祖父が居たのは知っていたけれど、声を口に当てたタオルで押し殺して、隠れて二人で抱き合って楽しんでいた。
2度果てた後、壱くんは疲れていたのか珍しくクークーと可愛らしい寝息を立てて寝てしまったから
私はこっそり部屋を抜け出して、飲み物でも貰おうと足音を立てずに階下へ行くために階段をゆっくり降りた。
すると、階段を降りきった所、廊下の始まりで
「ダメ……ん……」
(え……)
耳に飛び込んできたのは女性の、アノ声……快楽に喘ぐはしたない声だったのだ。
びっくりして立ち止まる。
今日、1階には祖父しか居ないはずだ。一体……誰の声?
そっと耳を澄ますと
「こっちへ来なさい……」
男性の声がそう言った。
(この声は……おじいちゃん?)
「……ぁっ…んんっ」
続いて女性の嬌声が響くとおじいちゃんらしき男性の声が名前を呼んだ。
「スミカ……イキなさい」
その名前はよく知っている名前だった。
耳が聞くのを拒否したいのに、体が動かなかった。
逃げなくてはと思うのに動けずに階段の前の廊下で立ち尽くす。
そして、何度もおじいちゃんがスミカと、伯母の名前を呼ぶのをただ呆然と聞いていた……

