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哀色夜伽草紙
第2章 大事なヒト
「紹介する。新しく組んで貰う羽田省吾だ」

井坂課長に紹介されたのは身長は低めで細くて、なんだか眠そうに目を擦っている男性だった。

この時間に眠そう?なのは目が垂れ目だからだろうか。のそっとした印象だ。


よく見れば少し垂れ気味だが、クリッとした目にやや丸い輪郭の頬、通った鼻筋で小さめの唇をした可愛らしい顔だ。
あくびを噛み殺しながら頭を下げた。

「羽田は琴莉の3期下……だな。今まで開発課に居たんだが、この度マーケティング課に異動になったから琴莉が指導頼むな。来週から本格的に異動して来るから」

井坂課長はニコニコしながら机に肘をついて私を見ながら言った。

「私が指導!はい、頑張ります!よろしくお願いします。笹木琴莉です」

「羽田です、こちらこそよろしくお願いします笹木さん」

羽田くんはにこりともせずにもう一度頭を下げてそう言った

クールなのかとちらりと様子を窺うと、ジッとこちらを見返していた羽田くんと目が合った。

その瞬間、あまりに清んだ鏡のような目に心臓が跳ねた

けれど、それは素敵だと感じたわけではなく、なんだか見透かすような、挑むような視線でだったからだ。視線の温度の冷たさに私の心が冷えていく


その意図を掴みかねて数秒見詰め合うと次の瞬間、スッと視線を反らされた。

(何なの……)


「課長。早速ですけど、部署に行きたいです」

「そうだな。琴莉、デスク隣に連れてってやってくれるか」

「はい、じゃあ行きましょう」

「お願いします」

頼まれたら仕事だし、これから指導する彼に慣れておくのも良いだろうと羽田くんを部署に連れていき、課長に言われた通り仕事内容や備品などの説明をして行く。

それが一通り終わると羽田くんは深々と頭を下げた。

表情はあまり動かないし淡々としているが、とても洗練された綺麗な動きの人だなと言う印象だ。

「では月曜日からよろしくお願い致します笹木さん、このまま一旦開発に戻りますので、ここで失礼します」

「うん、お疲れ様でした」

去り際、またあの探るような視線を一瞬してきたけれど、それには気づかないフリをして手を振った。



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