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哀色夜伽草紙
第13章 哀色夜伽草紙

「何の話だ?」
「父さんも安心してよ、ちゃんとオレ考えてるからね?」
伯父さんはワケがわからないという顔をしたが、壱くんがニコリと屈託ない笑顔を見せた。
ここからは、壱くんが先に話してくれた運命への復讐の始まりだ。
「仲良くしてるから兄弟で。会社は弟に任せるよ」
その瞬間伯父さんの顔色が変わる。
「壱、まさか……」
「ん?オレは全部知ってるよ?だからこそ琴莉とオレは幸せになるから」
壱くんの目が冷たい光を宿す。慌てる伯父さんに比べて至って冷静に見えた。
「省吾」
壱くんが呼ぶと、列席者の中から省吾がこちらに来た。
「金は払ってても顔すら覚えてなかったんだね『父さん』」
「何故今更……」
「何故?家を継ぎに来たんだよ、兄さんは全てを放棄していくから。母さんはじいさんとの間に子どもができないからアンタと作ったんだよね?子ども……それがオレ、まさか忘れたとは言わせないよ?」
省吾は柔らかな微笑みにあの澄んだ目をギラギラとさせて伯父に詰め寄った。
「そ、それは……」
「息子のオレに権利があるよね?ねぇ父さん、奥さん?」
狼狽える伯父の前で伯母が冷ややかな目で二人を見ていた。
そして、暫く蹲るようにして身体を折り曲げていたが、急に顔を上げて笑った。
ゾクリとするほど美しい顔だった。
「アナタも裏切ってたのね……親子二代、どうしようもない男たちね!あはは!」
「スミカ……」
呆然とする伯父に、壱くんが冷たく言い放つ。
「オレは貴方たちとは縁を切る」
「いち、違うんだっ」
「今更何も聞きたくない。二度と家には戻らない。省吾あとは頼んだよ……父さん、母さん、今日までありがとう、罪を背負って、どうぞ幸せにね」
暗い顔ではなく晴れやかな顔で壱くんは言って頭を下げた。
「行こう、琴莉」
「うん……」
そしてそのまま二人でタクシーに乗った。
そう、この結婚で壱くんは実家と縁を切ることを決めていたのだ。
弟である省吾に全てを託すことにしたのだと言う。
「父さんも安心してよ、ちゃんとオレ考えてるからね?」
伯父さんはワケがわからないという顔をしたが、壱くんがニコリと屈託ない笑顔を見せた。
ここからは、壱くんが先に話してくれた運命への復讐の始まりだ。
「仲良くしてるから兄弟で。会社は弟に任せるよ」
その瞬間伯父さんの顔色が変わる。
「壱、まさか……」
「ん?オレは全部知ってるよ?だからこそ琴莉とオレは幸せになるから」
壱くんの目が冷たい光を宿す。慌てる伯父さんに比べて至って冷静に見えた。
「省吾」
壱くんが呼ぶと、列席者の中から省吾がこちらに来た。
「金は払ってても顔すら覚えてなかったんだね『父さん』」
「何故今更……」
「何故?家を継ぎに来たんだよ、兄さんは全てを放棄していくから。母さんはじいさんとの間に子どもができないからアンタと作ったんだよね?子ども……それがオレ、まさか忘れたとは言わせないよ?」
省吾は柔らかな微笑みにあの澄んだ目をギラギラとさせて伯父に詰め寄った。
「そ、それは……」
「息子のオレに権利があるよね?ねぇ父さん、奥さん?」
狼狽える伯父の前で伯母が冷ややかな目で二人を見ていた。
そして、暫く蹲るようにして身体を折り曲げていたが、急に顔を上げて笑った。
ゾクリとするほど美しい顔だった。
「アナタも裏切ってたのね……親子二代、どうしようもない男たちね!あはは!」
「スミカ……」
呆然とする伯父に、壱くんが冷たく言い放つ。
「オレは貴方たちとは縁を切る」
「いち、違うんだっ」
「今更何も聞きたくない。二度と家には戻らない。省吾あとは頼んだよ……父さん、母さん、今日までありがとう、罪を背負って、どうぞ幸せにね」
暗い顔ではなく晴れやかな顔で壱くんは言って頭を下げた。
「行こう、琴莉」
「うん……」
そしてそのまま二人でタクシーに乗った。
そう、この結婚で壱くんは実家と縁を切ることを決めていたのだ。
弟である省吾に全てを託すことにしたのだと言う。

