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哀色夜伽草紙
第13章 哀色夜伽草紙

「キリがいい年度末なんかで辞めなよ?やりたいことをやっていいんだ琴莉」
確かにやりたい事をやってももういいかもしれない。壱くんの籠から飛び立たなくてよいのなら。そう思って頷くと、壱くんがホッとしたように長く息を吐いた。
すぐにまた腕の中に戻されて、背中を指が滑っていく。
「ん……ぁ」
柔らかい触れ方に、背中が撓る。
「暫く抱いてなかったから、幾らでも欲しくなる」
「んっ……そうだけど、離れたのは壱くんが婚約したからだよ?」
つい恨み言が口をついてしまうのは寂しかったからだ。
「ホントにごめん……」
壱くんは腰を引き寄せ背中に両手を回してきた。心を緩める壱くんの香りと慣れ親しんだ素肌の温もり。
昨夜注ぎ込まれたモノが、脚の間をとろりと伝っていく気がした。
「ねぇ壱くん……いいの?」
壱くんの指をきゅっと握って見上げると、目が丸く開く
「何が?」
「分かっていて聞いているんでしょ?」
「ん、分かってるよ。何も心配しなくていい……オレのお嫁さんは琴莉しか居ない、琴莉に子どもを産んで欲しい。オレとは違って愛のある家庭で生きていける子どもを、さ」
「壱くん……」
複雑な家庭で育った彼の願いを叶えたかった。それに私だって壱くんとずっと一緒に居たい。
離れていたあの日々は生きた心地がしなくてどれだけ壱くんが私の生活に必要か分かった。
「許されないよ?」
「それでもいいんだ……神が許さなくても二人でその子を精一杯愛していこう?」
壱くんが私の髪を撫でながら左手の薬指にキスをした。
「結婚してください、琴莉」
真っ直ぐなブルーグレーの瞳がこちらを見ていた。
「はい……」
私はこの人の傍で居られればいい。
誰に何を言われようと二人で生きよう。
「一緒に生きよう、死が二人を分かつまで」
「うん、ずっと傍にいる」
覚悟を持ってそう答えた。
誰が許すのか、誰が許さないのか
わからなかったけれど、ただ一つ二人とも分かったことは壱くんと私は離れられないと言う事だった。
確かにやりたい事をやってももういいかもしれない。壱くんの籠から飛び立たなくてよいのなら。そう思って頷くと、壱くんがホッとしたように長く息を吐いた。
すぐにまた腕の中に戻されて、背中を指が滑っていく。
「ん……ぁ」
柔らかい触れ方に、背中が撓る。
「暫く抱いてなかったから、幾らでも欲しくなる」
「んっ……そうだけど、離れたのは壱くんが婚約したからだよ?」
つい恨み言が口をついてしまうのは寂しかったからだ。
「ホントにごめん……」
壱くんは腰を引き寄せ背中に両手を回してきた。心を緩める壱くんの香りと慣れ親しんだ素肌の温もり。
昨夜注ぎ込まれたモノが、脚の間をとろりと伝っていく気がした。
「ねぇ壱くん……いいの?」
壱くんの指をきゅっと握って見上げると、目が丸く開く
「何が?」
「分かっていて聞いているんでしょ?」
「ん、分かってるよ。何も心配しなくていい……オレのお嫁さんは琴莉しか居ない、琴莉に子どもを産んで欲しい。オレとは違って愛のある家庭で生きていける子どもを、さ」
「壱くん……」
複雑な家庭で育った彼の願いを叶えたかった。それに私だって壱くんとずっと一緒に居たい。
離れていたあの日々は生きた心地がしなくてどれだけ壱くんが私の生活に必要か分かった。
「許されないよ?」
「それでもいいんだ……神が許さなくても二人でその子を精一杯愛していこう?」
壱くんが私の髪を撫でながら左手の薬指にキスをした。
「結婚してください、琴莉」
真っ直ぐなブルーグレーの瞳がこちらを見ていた。
「はい……」
私はこの人の傍で居られればいい。
誰に何を言われようと二人で生きよう。
「一緒に生きよう、死が二人を分かつまで」
「うん、ずっと傍にいる」
覚悟を持ってそう答えた。
誰が許すのか、誰が許さないのか
わからなかったけれど、ただ一つ二人とも分かったことは壱くんと私は離れられないと言う事だった。

