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哀色夜伽草紙
第12章 アナタと生きたい
心の奥底から愛おしいという気持ちが湧き上がり、勝手に涙が溢れてきた。

「壱くん、会いたかった……」

手を伸ばして抱きつけば、壱くんが優しく抱きしめてくれた。
自分から離れると言ったくせに、壱くんが居なくなったと聞いて胸が苦しくなった。

「悪かったホントに。でも解決したから大丈夫。今度こそ、二人で暮らそう」

「でも私、離れなきゃって」

貴方のために、いいえ自分のために逃げたのだ。

そんな私の頭を撫でながら壱くんが優しい声で言った。

「ああ、全部分かってた。琴莉の言葉が本心でないことも。だけど動くためには琴莉と一時期離れる必要があったから……コイツに君を託したんだ。何があっても守るだろうと思っていたからね」

まさか初めから?わかっていたの?

「勝手だなオマエ!」

省吾は怒りに震えていた。省吾には本当に申し訳ないと思いながらも

「居なくならないで、おいて行かないで」

ボロボロと流れる涙を止められず、壱くんの肩口を濡らす。分かっていても涙もこの想いは止められない。

壱くんの傍だけが私が生きる場所なのだ。

「壱くんが誰かと結婚して、私と結婚出来なくてもいい、子どもなんていなくてもいい、でも傍に居させて!」

そうでなければ私は息ができなくなるとわかった。

その様子を省吾が哀しそうな目で見つめてきた。

ごめんなさい。それでもやっぱり私は……

「琴莉どうして?貴女はオレの運命の人なのに!」

自分でもわからなかったけれど、今はハッキリと答えが出た。

省吾の傍にいる時も愛おしさはある、たぶん愛してる。

壱くんが暗い夜をぼんやり照らす月の光なら彼は明るい昼間に暖かく包んでくれる日溜まりだ。

共にいればきっと明るくなるはずなのだ。何の憂いもなく過ごしていけると思う。

けれど壱くんとはどんなに哀しくても、実を結ばない愛で虚しくても、離れることが出来ない。
月のように夜も昼もそこにいて、光を返してくれる壱くんが居ないと私は生きられないと感じた。

これこそが宿命なのだと思う。
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