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哀色夜伽草紙
第12章 アナタと生きたい

「オレは貴女の……そうだね、簡単に関係だけで言えば従兄弟だよ」
告げられた言葉の意味がわからなかった。
父は独りっ子だし、母には兄、つまり壱くんの父親しか兄弟は居ないから、私には壱くんの他に戸籍上の従兄弟は居ないはず。
「え、どういう事?」
「ちょっとややこしいんだけどさ」
そこまで省吾が話したその時、扉がノックされて開いた途端に、懐かしい香りが鼻腔を抜けた。
有り得ないその香りに驚く。
(え、ウソ、どうして?)
そして、その答えを響く声が言葉を紡いだ。
「そう、コイツはオレの弟で血の繋がりは甥子に当たるね……父さんとじいちゃんの愛人との子どもだ。コイツの母親はじいちゃんとの間に子どもができなくて、その息子と通じてコイツが産まれたんだ。」
「その通りだ」
省吾の言葉のあとにカーテンを開いた。そこで姿を見せたその人は……
「壱くん……」
やせ細った壱くんだった。元々細身ではあったが、今は頬が痩けるほどの細さだった。
それでも優しい笑顔は変わらない。それを見ただけで一気に心が動いたのを感じた。
「琴莉、すまなかった。君を巻き込むわけに行かなくて……演技にノッたフリをしていたんだけどね……でもやっと解決したから迎えに来たよ」
微笑みながら壱くんが私に手を伸ばそうとした
「琴莉」
応えようと手を伸ばすけれど、そのまま省吾が私に覆いかぶさり動けない。
はたと、今省吾と居ることを思い出した。
「行かせない……今更戻ってきたって渡さない。だってそうだろ?お前は琴莉を絶対に幸せに出来ない。未来永劫……それなのに何でノコノコ戻ってきたんだ」
省吾の低い、聞いたことがない冷たい声がした
壱くんは私に艶やかに微笑んでから、省吾の肩に手をおいた。
「それは結婚って意味か?それは出来るさ。戸籍上オレたちは従兄妹だから何の問題もない」
「だけど、問題だろ!血が近すぎる!」
「だからどうした。琴莉はオレを愛していて、オレも琴莉を愛してる。そのこと以外に必要な事なんて、幸せになる為にあるのか?」
壱くんは省吾の腕を掴むと、私の身体から引き剥がした。
「触るな」
省吾を退かすと私の頬に手をそっと添えてくる。懐かしい壱くんの温もりに気が緩む。
「会いたかった……」
「私も……」
告げられた言葉の意味がわからなかった。
父は独りっ子だし、母には兄、つまり壱くんの父親しか兄弟は居ないから、私には壱くんの他に戸籍上の従兄弟は居ないはず。
「え、どういう事?」
「ちょっとややこしいんだけどさ」
そこまで省吾が話したその時、扉がノックされて開いた途端に、懐かしい香りが鼻腔を抜けた。
有り得ないその香りに驚く。
(え、ウソ、どうして?)
そして、その答えを響く声が言葉を紡いだ。
「そう、コイツはオレの弟で血の繋がりは甥子に当たるね……父さんとじいちゃんの愛人との子どもだ。コイツの母親はじいちゃんとの間に子どもができなくて、その息子と通じてコイツが産まれたんだ。」
「その通りだ」
省吾の言葉のあとにカーテンを開いた。そこで姿を見せたその人は……
「壱くん……」
やせ細った壱くんだった。元々細身ではあったが、今は頬が痩けるほどの細さだった。
それでも優しい笑顔は変わらない。それを見ただけで一気に心が動いたのを感じた。
「琴莉、すまなかった。君を巻き込むわけに行かなくて……演技にノッたフリをしていたんだけどね……でもやっと解決したから迎えに来たよ」
微笑みながら壱くんが私に手を伸ばそうとした
「琴莉」
応えようと手を伸ばすけれど、そのまま省吾が私に覆いかぶさり動けない。
はたと、今省吾と居ることを思い出した。
「行かせない……今更戻ってきたって渡さない。だってそうだろ?お前は琴莉を絶対に幸せに出来ない。未来永劫……それなのに何でノコノコ戻ってきたんだ」
省吾の低い、聞いたことがない冷たい声がした
壱くんは私に艶やかに微笑んでから、省吾の肩に手をおいた。
「それは結婚って意味か?それは出来るさ。戸籍上オレたちは従兄妹だから何の問題もない」
「だけど、問題だろ!血が近すぎる!」
「だからどうした。琴莉はオレを愛していて、オレも琴莉を愛してる。そのこと以外に必要な事なんて、幸せになる為にあるのか?」
壱くんは省吾の腕を掴むと、私の身体から引き剥がした。
「触るな」
省吾を退かすと私の頬に手をそっと添えてくる。懐かしい壱くんの温もりに気が緩む。
「会いたかった……」
「私も……」

