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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第5章 乱暴でもいいから、奪って
「しのちゃ……ゴメ……っ……僕が悪かったよ……」
堺はしのの頬に触れようとするが、しのはフイと顔を逸らした。
「あああ――!」
直ぐに聞こえて来たのは堺の悲痛な響きの声だったが、しのにとっては意味不明でしかない。
――どうしてこの人はいちいち雰囲気を台無しにするのだろう?まさか、いわゆる『不能』という訳でもないだろうに。
しのはむくれたままで横を向いていたが、堺が何度も顔をのぞき込んでくる。
「しのちゃん……どうしたら許してくれる?」
「気安く呼ばないで下さい」
彼に覗き込まれる度に、しのは反対側に顔を向けた。
『ツーン』という擬音が聞こえて来そうな拒否っぷりに堺はショックを隠せない。
「じゃ、じゃじゃじゃ……美佳原さん」
「それはもっとダメ」
「ええっ……?」
堺が困り果てて精一杯しののご機嫌を取ろうとしているのが分かる。
大の男が泣きそうになっているのを見て、しのは次第に可笑しくなってきた。

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