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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第5章 乱暴でもいいから、奪って
「……掌でこ……転がすだとかっ……私……そんなに慣れた女じゃないです……っ!大体が……堺さんのせいで――!」
しのは怒りを通り越して悲しくなって涙が溢れて来た。
男性にときめいた事なんて一度も無かった。中学時代、思春期真っ只中のしのは男子生徒からも苛められて、異性への憧れもへったくれもなかったのだ。
オリオンでデビューしてからは男性ファン――ファンと呼んでも良いのだろうか?――握手会のイベントなどではセクハラ紛いの言葉を投げつけられ、悪意がこもった手紙を送りつけられたり、ライヴでもからかいのヤジを飛ばされたり――
オリオン21のメンバーは恋愛禁止という事になっているが、しのはそもそも恋愛など興味が無かった。男性に対して幻想を抱くという事が皆無だったのだから。
――なのに……今日……この人に会った瞬間から私は――
しのは、目の前で困ってオロオロする堺をまた殴りたくなる気持ちを抑え、溢れた涙を手の甲で拭った。

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