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わたしの肢体
第2章 秋芳 善(15)
 鼓膜から心臓を経由して全身に広がっていく不快感。
 そしてそれはじきに、皮膚表面から突き刺さってくる強烈な痛みに変わる。



 え、つうか、あれマジの弟?
 ぜんぜん似てねぇなぁ。
 なぁ、あれマジの弟なの?
 って・・・秋芳がジブンで言ってたな。
 へへっ。
 へへへへへっ。
 おーい、




「ぜん!」




 百が顔を上げる。
 善はそれより先に、金髪連中のほうに顔を向けていた。



「おまえとおとーと、まっじで似てねぇなぁ!」



 へっへへへ、へへへへへ・・・。
 



 百は下からチラリと細い一重瞼を善に向け、純粋な口元を少し開いて兄の反応を伺っている。
 百のまっ黒い瞳には、着崩した制服に身を包んだ兄の姿が写っていた。


 坊主頭の百とは180度違う、素行不良を体現するように渦を巻いた毛質の、痛んだ金色の髪。
 肥満の百とは正反対ですらっとした筋肉質な体躯。
 平坦な顔つきの百とはまるっきり違い、彫りの深い、鳶色に澄んだ瞳。

 
 秋芳、という、同じ名字をもち、同じ母親の腹から生まれ、百とは兄弟でありながら、血の繋がりを半分しか持たないと事実上理解せざるを得ない状況下に置かれている思春期の少年の、姿だ。



「おまえが言ってたの、マジだったんだな!」



 素直なだけ、と善の中では解釈している仲間の少年らの率直な感想に対し、善は唇のはしをほんの少し釣り上げただけの笑顔で対応した。




「・・・な?ぜんっぜん似てないだろ?だっておれはおかあがどっかのガイジンと浮気してデキた子だから。へへ、オットコマエでうらやましーだろ?」



 絶対的な虚無感を笑顔でもみ消す思春期の少年たちが、笑う。
 便乗してピース。いぇーい。
 教室の中の虚しい自己表現。

 
「つーかはやくかえせよ」


 家の中では絶対に見せない強がった兄の顔で、善は百に貸したスマホを奪い取る。
 画面をふと見れば、百が入力途中だったメールの文章が見えた。
 宛先は、父親。



“あさはごめん!きーつけます!”


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