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わたしの肢体
第1章 新本一花(13)
 しゅうちゃんはアイロンを握り締めると、自分に対し必死に詫び続けるサナエの頬にそっとかさついた唇を寄せ、音を立ててキスをした。

「そんなにおれのこと好きなんだ」

 それから愛しそうにぼさぼさの髪を振り乱すサナエの頭を抱きしめ、今度は汗で濡れた前髪のうえにキスをした。


「そりゃそうだよなー。おれと別れたら一生おとこなんてできないだろうしな」


 しゅうちゃんは堰を切ったようにサナエにキスを落とす。
 前髪をかき分けた額、玉の汗が浮かぶこめかみ、かさついた頬、まるい鼻先、開きっぱなしの上唇、横皺の目立つ首筋、骨ばった肩、そして、ぱりぱりに乾燥した唇。


「そんなにおれとけっこんしてほしーんだ。どれいになってまで。へへっ。むすめもいるのに、ばっかみてぇ」


 下肢静脈瘤の青い血管の目立つたるんだ太腿のあたりに押し当てられているしゅうちゃんのそれは、今にも破裂しそうなくらい膨張していた。


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