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第1章 　『　フォンダン　ショコラ　』　

フォンダンショコラを食べに出かけてから、
ここ２～３日は、特になにもなかった。


洗濯を干して、掃除をして、
お昼がきたら、食べたいものを食べ、
晩ごはんの食材を買いに出かけた……。


いつも
同じことの繰り返し……。


今朝、珍しく


「今日、お刺身が食べたいな～。
おいしそうなもの、買っといてよ。」


と、靴ベラを使いながら靴を履く夫が言った。


「うん、わかった。」


「いってくるね。」


夫は、そう言って、あわただしく出て行った。


お刺身かぁ……。
だったら、線路の向こう側のスーパーの方がいいかな。


窓から日が差している。


お天気もいいし……。


ランチも済ませようかな～。


その考えが浮かんで、わたしは浮足立った。


欲しいお刺身を思い浮かべた。


夫は、烏賊が好きだからあるといいな。
ぶりやはまちもあるといいな……。


ランチは、どこのお店で食べようか？


いつも行くイタリアンのお店にしようかな。


このお店は、ディナータイムは、夫とよく行く。


いつ行っても、アンティパストが違っていて
飽きがこなかった。


パスタも、オイルベース、トマトベースにクリームベース。
どれもこれもおいしかった。


ランチは、週替わりのパスタを用意してあり、
こちらもメニューが重なったことはなかった。


今日は、晩ごはんがお刺身であっさりだから、
クリームベースのパスタにしようかな……。


たったすぐそこ、
お刺身を買いに行くだけなのに、
わたしは、とても楽しかった。