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いつ見きとてか 恋しかるらむ
第3章 『 抹茶 水ようかん 』

次の記事には……。
Sachiさんの悲しみや苦しみ、忘れられない想い、調教によるご主人様への依存……心の内側が静かに綴られていた。
わたしは、Sachiさんがブログに吐露した言葉の数々に共鳴し、切なくなり悲しくなり、時にはSachiさんのご主人様に腹を立てたりしながら、いくつかの記事を読み進めていった。
「これから。」
というタイトルで手を止めた。
肩でふうっと息をしてから、首を左右に傾けた。
長針がフォーク、短針がナイフになっている掛け時計に視線を投げると、とっくに一時間を超していた。
のめり込みすぎているなあ……。
Sachiさんのブログにはまりこんでいる。
時間がありすぎるからなのか、気になって仕方がないからなのか……。
わたしは……。
サディストという存在に出会い、従いたいのだと思う。
心も体も、不自由な中にある自由にゆっくりと溺れたいのだ。
経験をしたことがないから、Sachiさんが紡いだ時間をたどって、自分はどんなふうに進めばよいのか……考えたいのだと思う。
望むけれど、臆病だから、なにもなしに飛び込むことに躊躇するのだ。
出会った時の喜びも、調教された時の悦びも、別れた悲しみも……。
Sachiさんの経験を疑似体験する……。
でも、それはバーチャルだから、よけいに本当を求めてしまう。
わたしの頬に触れる指先、執拗に乳房を責める手のひらは優しくそして激しく。時には痛いくらいに、乳房を握られ、乳首を摘ままれて……。
動かすことのできない体は、わたしのものであってわたしのものではない……。
そういう想像をすればするほど……なのだ。
腕を伸ばして、大きな伸びをした。
「もうちょっとで読み終わるかな……。」
そうつぶやいて、続きを読み始めた。

