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いつ見きとてか 恋しかるらむ
第3章  『 抹茶 水ようかん 』 
わたしの右手からは、愛液が滴り落ちている。
この手でパソコンには触れないから、洗面所に手を洗いにいった。

洗面台の鏡に映し出されるわたしは、いつもの顔ではなかった。

頬は紅潮し、目はうつろだった。
唇も艶やかで、少し乱れた髪がさらに行為の後という雰囲気を醸し出していた。


いやらしいおんな……。


自分で自分のことを辱しめてしまうのは、なぜだろう。

心のどこかで、
ジブンハコンナハシタナイオンナデハナイ
と否定している。
だけど、別のどこかでは、
いやらしいおんな
と心の中で反芻することで、ゾクゾクする気持ちを味わっている。

Mだから、こういう気持ちになるのか。
単に、性的なことに耽溺しているからなのか。


わたしには、まだわからない……。


鏡の前から立ち去って、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。
火照った体を冷やしたくて、一気に流し込む。
右の口の端から、一筋、水が零れ、喉を伝う。
その感覚から、また妄想が始まる。

これが、誰かの……しなやかな指先だったなら……と。

私はミネラルウォーターのボトルをテーブルに置いて、零れた水を手の甲で拭った。


Sachiのブログに心を奪われ過ぎている。


でも、それはきっとわたしが求めてやまない世界だからかもしれない。

わたしは、sachiの世界をもっと知りたい。

彼女の世界は、幻想であり現実。

そこから、漠然としている……わたしの求めているものを知ることができたなら、もしかしたら、わたしもなにか……変わることができるかもしれない。


わたしは、またパソコンの前に座った。


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