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いつ見きとてか 恋しかるらむ
第2章 『 シフォンケーキ 』

Sachiさんのブログを開けた。
「あるがまま」
TOPページが表示された。
桃色の丸文字で書かれているタイトルは、濃い桃色で縁取られている。
見慣れているタイトルだった。
スクロールしてカテゴリー欄を見た。
今までは、
日常 と レシピ のカテゴリーが、
見えていただけだったが
その下に 非日常 というカテゴリーが
表示されていた。
非日常…………。
胸がドキリとした。
どんなことが……書かれてあるのだろうか。
私は、非日常……その文字をクリックした。
最新の記事のタイトルは
「いただきました」
と書かれてあった。
わたしは、ゆっくりと画面をスクロールしながら、
Sachiさんが書いた記事を斜め読みした。
画像を見た瞬間、
わたしの呼吸は、少しの間、止まった……。
画像には、鼻から下、胸の少し上が写っていた。
滑らかに見える色白の肌は、明らかに女性のもの。
顔は、ななめ上を見ていると思う。
首の角度でそう感じた。
開いた口には、白い液体……。
首には、赤い首輪……。
Sachiさんの記事を読んでいたので、
白い液体がなにかは……わかった。
衝撃的すぎた……。
わたしは、少し眉を寄せた。
写真の中で、時間は止められている。
だけど、実際、その後……があるはず。
わたしは、記事の続きを読み始めた。
……そうだよね。
「ご主人様の精液をおいしくちょうだいいたしました。」
この文章を読んで、口の中に存在していた白い液体が
喉にからみつきながら、内臓の奥へ奥へと流れていったことを確認した。
おいしく……。
たしかに。
愛しい人の「それ」は、嫌いではない。
でも……おいしい……のかな……。
わたしは、少し考えたけれど、思考を止めた。
考えれば、考えるほど、答えが見つからないような気がしたから。
数々のおいしい料理の画像。
そして、そのレシピが丁寧に書かれてあるブログ。
そのブログの限定記事が……こんな内容だったなんて。
ごくりと喉が鳴った……。
わたしは、キッチンへ向かった。
熱いほうじ茶が飲みたくなった。
そして、ゆっくりとお茶を飲みながら、
他の記事も読もうと覚悟を決めた。

