この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
シロップ
第1章 シロップ
5 ブルーハワイ味のわたしは、夜の孤独に静かに淫靡に溶ける、秘密のわたし…
毎週水曜日は『ノー残業デー』
わたしは定時に退社して、数少ない友人の美千代と待ち合わせをし、軽くショッピングをして、夕食を食べ…
その後にとりとめのない女同士の会話を楽しむ。
会社、仕事の愚痴から始まり…
とりとめない女同士の話しを交わしていき…
そして最後に必ず盛り上がるのが…
恋バナである。
美千代は早婚の母親の影響からか、結婚願望が強い…
だがわたしは対照的で…
将来を意識している『甘い練乳』の彼はいるのだが、リアルな将来の結婚像はまだイメージできず…
その甘さをうまく中和する為に、いや、逆に、より心の刺激を求めるかの様に、直接の上司である『課長』と不倫の逢瀬をしている…
ううん…
本当は…心から…課長を愛していた。
だが、彼、課長との未来という現実を思い浮かべると…
リスクしか浮かばない。
リスク…
それは略奪愛の対価のリアル。
それらのリスクの現実が…
わたしの胸の奥深くを冷たい波でかき乱し、心の熱を冷まし、醒まし、ただ、かろうじて抑えていた。
その心の色はまるで…
ブルーハワイのシロップが、氷の上を静かに溶けて流れ落ちていくような…
それは青くて透き通った、孤独で冷たい…
青くて、蒼い、藍い色。
そしてわたしは、いつもの美千代が楽しげに語る「理想の結婚像」を軽く聞き流しながら、グラスの中の氷をストローでゆっくりと回していくと…
カラン…
と、鳴った小さな音が心の奥まで響いてきた。
「ねぇ彩美、あんたは結婚とか考えないの?」
「うーん…どうだろ、今はあんまり考えたくないかも」
「えぇでもさぁ、彼ともう長いんでしょう?
二年半だっけ?」
「うん…まぁそうだけど」
笑ってごまかしながら、心の中では別の秘密のわたしが…
そっと微笑んでいた。
イチゴ味のわたしが焦がれる恋…
レモン味のわたしが嫉妬に蠢く夜…
そして今夜…
ブルーハワイ味のわたしは…
孤独に酔って…
寂しさに心震わせ…
静かに、淫靡に……融けていく。
毎週水曜日は『ノー残業デー』
わたしは定時に退社して、数少ない友人の美千代と待ち合わせをし、軽くショッピングをして、夕食を食べ…
その後にとりとめのない女同士の会話を楽しむ。
会社、仕事の愚痴から始まり…
とりとめない女同士の話しを交わしていき…
そして最後に必ず盛り上がるのが…
恋バナである。
美千代は早婚の母親の影響からか、結婚願望が強い…
だがわたしは対照的で…
将来を意識している『甘い練乳』の彼はいるのだが、リアルな将来の結婚像はまだイメージできず…
その甘さをうまく中和する為に、いや、逆に、より心の刺激を求めるかの様に、直接の上司である『課長』と不倫の逢瀬をしている…
ううん…
本当は…心から…課長を愛していた。
だが、彼、課長との未来という現実を思い浮かべると…
リスクしか浮かばない。
リスク…
それは略奪愛の対価のリアル。
それらのリスクの現実が…
わたしの胸の奥深くを冷たい波でかき乱し、心の熱を冷まし、醒まし、ただ、かろうじて抑えていた。
その心の色はまるで…
ブルーハワイのシロップが、氷の上を静かに溶けて流れ落ちていくような…
それは青くて透き通った、孤独で冷たい…
青くて、蒼い、藍い色。
そしてわたしは、いつもの美千代が楽しげに語る「理想の結婚像」を軽く聞き流しながら、グラスの中の氷をストローでゆっくりと回していくと…
カラン…
と、鳴った小さな音が心の奥まで響いてきた。
「ねぇ彩美、あんたは結婚とか考えないの?」
「うーん…どうだろ、今はあんまり考えたくないかも」
「えぇでもさぁ、彼ともう長いんでしょう?
二年半だっけ?」
「うん…まぁそうだけど」
笑ってごまかしながら、心の中では別の秘密のわたしが…
そっと微笑んでいた。
イチゴ味のわたしが焦がれる恋…
レモン味のわたしが嫉妬に蠢く夜…
そして今夜…
ブルーハワイ味のわたしは…
孤独に酔って…
寂しさに心震わせ…
静かに、淫靡に……融けていく。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


