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シロップ
第1章 シロップ
 6 無色、透明なわたし…

 店を出て、美千代と別れると…
 初冬の冷たい夜風が頬を撫でてきた。  

 夜の街の灯が青く煌めき、揺れている。

 その色は、まるでわたしの心のように淡く滲むブルーハワイの青い色…

 そしてわたしは一人…
 夜の巷に彷徨い、さ迷い…
 温もりを求めてホテルのバーに行く。

 だって...
 リアルな現実が冷たくて寂しいから…

 人恋しいから…
 
 そして甘いニセの恋の甘さに焦がれ…

 ままならぬ嫉妬の色に狂奔し…


「ねぇ、一杯奢らせてよ…」

「…………」
 
 その夜の孤独の青さの誘いに黙って頷く…

 そしてその一夜限りの、見知らぬオトコの温もりに抱かれ…

 その淫靡な青さの秘密の夜に…
 溶けて、融けていくの。


 ひとりの夜は決して嫌いじゃない… 
 でも、ふと、誰かの温もりを思い出し、人恋しくなってしまう瞬間がある。

 だからそんな夜は…
 ううん…
 ブルーハワイの様な淡く滲む青色に心が揺れ、焦れるそんな夜は…
 アナタへの偽りの優しさを求めて…

 一夜の幻に抱かれるの。

 そんなわたしは誰にも知られず…
 夜の孤独に、静かに、淫靡に、シロップの如くに溶けていく。

 そして氷がすべて溶けたあとに残るのは、  どの色でもない…

 ただの「透明」…

 無味、無色透明な、氷の溶けた…

 ただの水。

 そう、本当のわたしの色は…
 わたしの味は…
 どれなのだろうか?

 そしてそう戸惑いながらもわたしの中で、三つの色が静かに、ゆっくりと混ざり合ってくるのを感じていた…

 金曜日の夜のイチゴ味のわたしは、
 『今度の日曜、母に紹介したいんだ…』
 そう言ってきた彼の言葉をふと思い返し、そして心の奥の甘い痛みに身を焦がす…
 そして曖昧に濁して、まだ、返事をしていない。

 なぜならその瞬間、レモン味のわたしが囁いたから…
『本当に、その甘さだけでいいの?』と。

 その時、甘酸っぱくて、刺激的で、どこか危険な香りも好むわたしの耳の奥で、いつもの課長の低い声が囁いてきたのだ…
 『彩美、かわいい…』と。
 その囁きの声音が、理性の膜を溶かしてくる。

 課長に触れられるたびに…
 抱かれるたびに…
 心の中の酸味と快楽の境界が曖昧になって、
 まるでシロップが熱にとけて滴り落ちるように…
 

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