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美味しいサンドイッチの作り方
第12章 きらめき臨海HANABIナイト
と…もうちょっとで営業時間が
終了になるからなのか、
妙にテンションが高い係りの
お兄さんがゴンドラのドアを
外からロックして。
下から手を振っているお兄さんに
小さく手を振って。ゴンドラから
外の景色を見ていた。
『こら、なゆ。観覧車に
男と乗るんだったら、
お前は俺の隣じゃねぇのかよ?』
「え?で、でも…ッ。そっち側に
2人とも乗っちゃったら
ゴンドラ…傾いちゃうんじゃ…」
私が向かい側の椅子に
座ったのを不満そうに光が
言って来るから。
仕方なく……これは罰ゲームで
乗ってる観覧車だから、
座っている場所を移動して
向かい側に座っている
光の隣に座り直した。
「ほらぁ、やっぱり
ゴンドラ…傾いてるよぉ」
『いいじゃん…、そんな
細かいこと…気にすんなって。
こっちの方が…
お前との距離近いし』
近いというか…密着してる…し、
気のせいじゃなかったら
身体を押されて端っこに
追い詰められてる感じがする。
普通異性と観覧車って
シチュエーションってもっとこう
ロマンチックな感じの
ムードになったりするんじゃ…。
「ね、ねぇ…さっき…光は
何を言おうとしてたの?
何か言いかけて…やめたよね?」
『あ~さっきのあれ?
来年は…2人で…観に来ないかって
言おうかなぁ…て思っただけだよ』
「えっ…、ふ、二人で?」
『別に…俺がお前とふたりで
出かけようが、翔とお前が
ふたりで出かけたっていいだろ?
絶対3人で行動しないとダメって
そんな決まりがあるわけでもねぇし…?』
来年の臨海地区の花火大会に
2人だけで来ないかなんて
言われちゃったら、妙に
その光の言葉を…変な意味に
意識してしまいそうに…なってたけど。
そう言う…意味じゃ…ないよね?
観覧車の窓の外には…
きらめき市の街の明かりが見えていて。
『夜空の星もいいけど、
地上の光も悪くねぇよな?』
今見えている…きらめき市の夜景は
誰か…が…居て…その人の
生活を灯している光で。
人工的な明かりではあるけど…。
宝石箱をひっくり返して
ちりばめられた宝石のような光で。
「うん、綺麗。……観覧車…に
夜に乗ったの…って初めて…」

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