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美味しいサンドイッチの作り方
第12章 きらめき臨海HANABIナイト
『じゃあ…慣れない下駄で
なゆたが転んだりしても
危ないから…、手繋ぐ?』
と言って翔がこっちに
手を差し出してきて。
「あ…う、うん。ありがとう…」
そう言えば…浴衣だから
雰囲気が違うのかなって
思ってたけど…、翔…
いつもとヘアセットが違うんだ。
いつもは遊ばせたりしてない
毛先をワックスで遊ばせてるみたい。
「…髪の毛…ワックス…」
『なゆた、良く気が付いたね。
偶には……こう言うのも
いいかなって思ったんだけど…』
『花火大会なんて夜だし、
そんなの分かんねぇじゃん』
『そこを…拘るのが
オシャレなんじゃないの?』
と…翔に上手く言われてしまって
光はそこからしばらく
何も言わなくなっちゃって。
ちょっと前を歩いている
光の後ろ姿を見ながら、
翔と顔を見合わせて笑って。
いつも喋ってる光が
何も言わないから、
光拗ねちゃったのかなって
思いながら…光の後ろ姿を
見ていたんだけど…。
『ねぇ、光。
あそこの電柱まで歩いたら、
なゆたのエスコート交代してくれない?』
『…………ん』
嫌とか言うのかと思ってたら、
んとだけ言ってて。
翔が言っていた電柱まで歩くと
大分海が近くなって来てて。
お祭りの会場からのBGMも
スピーカーからわずかに
遠くに聞こえて来る感じになって来る。
『臨海地区が見えて来たね』
『ほらよ、なゆ。手、こっち貸せ』
と…こっちに光が手を差し出して来て。
私が…その手を…すぐに
取らなかったから…。
光が手を握って来て。
そのままズンズン歩き始めるから。
「待って、待って…光。
もうちょっと…歩くのゆっくりッ…」
『悪りぃ…』
私がゆっくり歩いて欲しいと
光にお願いをすると、
歩く速度をゆっくりにしてくれて。
臨海地区まではこのまま
この国道沿いの歩道を真っすぐ
東に向かって歩いて行けば
辿り着けるけど…。
前を翔が歩いてくれて、
翔の前を後ろから着いて歩く。
段々と…祭りの会場の
臨海地区が近づいてくると
沢山キッチンカーとか
出店が並んでいるのが見えて来て。
『(ゆ…なゆ…)』
そう…光が…凄い私にしか
聞こえない小さな声で呼んで来て。

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