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新人警察官の拘束体験研修
第5章 第三部 後編 水面(みなも)の波紋
彼女は自分の両手が後ろに回され、組まされると、腕の動きを制限されることを感じ取っていた。とっさに学校の授業で学んだ、『拘束とは行動の自由を奪う行為』という言葉が頭に浮かんでいた。

だが両腕を後ろで組まされ、縄で固く縛られ、結びをキュッと締められていくと、胸までも締め付けられる。自分の身を守るために必要な動きが取れなくなり、ポッカリと穴が開いたような感じだった。

みずきは無防備になっていく自分を理解し、ロッカーの扉に体を預け、「ぁぁ…」と小さな吐息を漏らし、目を閉じていた。

それはまるで自分という存在を否定してしまいたくなる、喪失感や孤独にも似た心境だった。そこに赤い縄がみずきの胸元を横断するように這っていく。心に開いた穴を埋めるように、そっとブレずにまっすぐ進んでいく。肉体の余裕が奪われ、包まれていく感覚に彼女のお尻が揺れ、縄が諫めるように締めを強くし、体との隙間を埋めていくようだった。

みずきは力が抜け、「ぁぁ…」と吐息を漏らしていた。
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