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新人警察官の拘束体験研修
第5章 第三部 後編 水面(みなも)の波紋
「それはあなたが目指したい姿とは違うかもしれない…」
彩は中に入っていた白シャツを手に取り、みずきの胸を覆うように素肌に当てた。

「着なさい…」と彩は、みずきに指示をした。

みずきは彩に言われるがまま、素直に白シャツに袖を通し、落ち着いた指の動きでボタンを留めていく。

彩は続いて中から黒いスカートを取り出し、みずきの手に取らせていく。

みずきは何も言わず手にしたスカートに両脚を通していく。その際に、長椅子に置かれていた赤い縄束の1つが、彩の手に握られたことを鏡越しに見つめていた。全開に開けられたロッカーの扉裏に小さな鏡が付いていた。

みずきはロッカーに入っていた服に身を包むと、彩が言っていた『目指したい姿とは違う』自分と対面することを避け、そっと扉を閉めていた。

「あなたは諦めたんじゃない…あの人を守りたくて…こうすることを選んだの…あなたの潔(いさぎよ)い覚悟に…この縄が引き寄せられていくみたいね…あなたの側に寄り添って…縄の掟を体で知ってほしいそうよ…」

彩はロッカーの扉に両手を添えていたみずきの両手を優しく掴み、片方ずつ後ろに回させていた。
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