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僕の母さん
第10章 除夜の鐘

「それにしても、ちょっと作りすぎじゃない?
いくら僕と彩也香ちゃんが育ち盛りとは言え、そんなには食べれないよ?」

「私たちだけじゃないの、
まだ招待する人がいるんですから」

えっ?他の人が来るの?
そんなの初耳だよと達郎が驚いた。

「誰なの?僕の知ってる人?」

女の人かなぁ…綺麗なお姉さんならいいなあ…

まさか、真弓は辰巳を、佐智子が真壁を招待しているとも知らず、達郎は女性が来るものだと信じて疑わず鼻の下を伸ばした。

「ママ!私、少し休憩するから!」

佐智子がいいわよと言う前に手を洗うと「行こ!」と達郎の手を取って達郎の部屋に逃げ込んだ。

「どうしたんだよ?手伝わなくていいのかよ」

「ほっておけばいいのよ!
何で私が女の子って言うだけで手伝わなきゃいけないのよ」

「ほら、僕が手伝うと見映えも良くないし、ぐちゃぐちゃにしちゃうから…」

「そりゃあ私だって華やかに盛り付けたいわよ
でも、達郎のためなら頑張れるけど、ママが連れてくる誰かさんのために頑張れないわ」

「誰が来るのか知ってるの?」

「知らない。でも、きっと男よ。それもただの友だち関係じゃないわ」

「えっ?それって…つまり…セックスをする間柄ってことかい?」

「私が言いにくいことをズバズバ言わないでよ!」

「そんな…考えすぎじゃないかい?」

「わかるのよ、女の勘ってやつよ
達郎の目から見てどう?ママ、綺麗になったと思わない?」

確かに…
あの夏の日に温泉に連れていってもらった時に比べ、
今は色気がムンムンしているし、良い女になったと思わざるを得ない。
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