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家は檻。〜実父の異常な愛〜
第6章 答え合わせ
ちゃぶ台に湯気の立つ味噌汁をそっと置き、こよみは台所へ戻って残りの器を運んだ。配膳を整え、箸を並べ終えたところで、店の引き戸が開く音が聞こえる。

がらがら……。

「ただいま」

低く、いつも通りの声。

廊下を渡って居間に現れた孝幸は、ちらと食卓を見まわした。

「……ずいぶん豪勢だな。炊き込みご飯に……さんまか」

「はい」

こよみは控えめに返事をして、立ったまま小さく会釈をする。

孝幸はちゃぶ台の向かいに腰を下ろし、湯呑みを手に取った。

「……誰のために作ったんだ?」

その問いに、こよみはほんの少し眉を寄せ、不思議そうに目を瞬かせた。

「……え……? お父様、です」

箸を取り上げながら答えるこよみの表情に、疑いの色はなかった。

「石田さんとこでな、声をかけられたよ」

こよみの手が止まる。

「こよみちゃん、お友達と仲良く帰ってましたよ、だって。女の子と、男の子と、三人で」

「……はい。あの……佳乃ちゃんと、司馬くんと……です」

「ふうん、司馬くんね」

笑みを浮かべたまま、孝幸は炊飯器の蓋を開け、ご飯をよそい始める。茶碗にあたるしゃもじの音が、やけに大きく響いた。

「別に、悪いことをしてるわけじゃないよな?」

「……はい」

「ふたりきりになった?」

「……なっていません」

「話したのか?」

「……はい」

「笑った?」

「……」

答えないこよみに、孝幸は箸を置いて、少し身を乗り出す。

「笑ったんだな?」

「…………」

こよみは下を向いたまま、肩がわずかに震えていた。

「最近、緩んでるんじゃないのか。お前」

孝幸の声が、すっと低くなる。やわらかい声音の奥に、底冷えするようなものがある。

「……違います……」

か細く絞り出した声に、孝幸は笑った。

けれどその笑顔は、仮面のように静まり返っていて、目だけがぎらついていた。

ゆっくりと立ち上がる孝幸。

「やっぱり、躾が足りなかったようだな」

壁際まで後ずさったこよみの腕を掴むと、そのまま畳に押し倒した。

ちゃぶ台の上には秋の料理が残されている。
湯気の立つ汁椀や皿の香りすら、今は誰の目にも入らなかった。
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