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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第11章 月下美人のデカダンス
闇の中、汗が冷えていく感覚がじわじわと肌に広がっていく。

その不快さに押されるように、葵はポツリと話し始めた。

「全身汗でベタベタだし…。恥ずかしいところもたくさん見られて…顔もぐちゃぐちゃだし。こんな姿見せられないよ…。」

返す言葉を探してみても、思うような言葉は見つからなかった。

焦りと沈黙の中で、葵が自分を否定したまま終わらせないように、裕樹は必死に頭を回転させていた。

「……葵ちゃん。」

届かない場所に投げかけるように名前を呼んで、息を一つ飲み込む。

「なんかさ…浴衣とか、制服とか、ちょっと着崩れている方がエッチに見えることってあるじゃん?今の葵ちゃんも…その″ミダレ″が、綺麗でさ…って、何言ってるんだろ俺…」

裕樹の言葉を聞き終えると、葵は小さく吐息をもらした。

まるで苦笑いするように、暗闇でかすかに肩が揺れる。

「……何それ。現実はもっとボロボロだよ。みぞれちゃんのビデオみたいに綺麗に乱れたりしないんだから。」

「いや…水原みぞれのAVより葵ちゃんの方が…」

思わず口にした本音に、裕樹の顔に熱が上った。

沈黙を挟んで、葵は小さく息を吐く。

「……ボロボロな私まで、裕樹くんのおかずにされちゃうんだ…ほんと変態だね。」

葵は少し呆れているようで、それでも軽蔑するわけではなく、茶化すような声が、むしろ空気をやわらげる。

その声音がくすぐったくて、二人の呼吸がほんの一瞬、重なった。

「ち、ちがっ……いや、まぁ……綺麗だから、残したいって思ったのは本当で…」

裕樹はそう言い切ったあと、顔が熱くなるのを誤魔化すように頭をかいた。

葵は暗闇で何も返さない。

ただ、かすかな吐息が笑ったように揺れた気がした。

その沈黙がほんの僅かに救いになって、裕樹は息を整える。

「…真ん中に荷物あるし、移動しよっか。ちょっと明るいとこで。」

そう言って裕樹は、手を床について体を起こす。

湿った板の感触が手に残るのも構わず、ぎこちなく立ち上がった。

ほんの少し間を置いて、葵も重たい体を引きずるように立ち上がる。

二人は肩を触れ合わせない距離を保ったまま、三脚が立つ真ん中へと歩き始めた。
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