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全部、俺のものになるまで
第1章 午前0時の社長室

「……おめでとうございます」
思わずこぼれた声は、乾いていた。
私は誰よりも、このプロジェクトに時間をかけたはずだったのに。
PCの画面が滲む。
でも、泣くわけにはいかない。
私はただ、黙ってデスクに戻った。
「今日、残業できるか?」
会議が終わったあと、社長・一瀬悠真がふいに声を上げた。
空気がぴり、と張りつめる。誰もが軽く反応するものの、次々と「予定がありまして」「すみません」と立ち上がっていく。
なんとなく、今日は気分が乗らなかった。
帰ってしまいたい。そう思っていたところで、名前を呼ばれた。
「高梨は?」
「私は今日……」
──そう言いかけた私の言葉を、彼の低い声が断ち切った。
「残業、できるな」
その瞳に抗えなかった。
熱を孕んだまなざしに、また心が絡め取られる。
「……はい」
思わずこぼれた声は、乾いていた。
私は誰よりも、このプロジェクトに時間をかけたはずだったのに。
PCの画面が滲む。
でも、泣くわけにはいかない。
私はただ、黙ってデスクに戻った。
「今日、残業できるか?」
会議が終わったあと、社長・一瀬悠真がふいに声を上げた。
空気がぴり、と張りつめる。誰もが軽く反応するものの、次々と「予定がありまして」「すみません」と立ち上がっていく。
なんとなく、今日は気分が乗らなかった。
帰ってしまいたい。そう思っていたところで、名前を呼ばれた。
「高梨は?」
「私は今日……」
──そう言いかけた私の言葉を、彼の低い声が断ち切った。
「残業、できるな」
その瞳に抗えなかった。
熱を孕んだまなざしに、また心が絡め取られる。
「……はい」

