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全部、俺のものになるまで
第1章 午前0時の社長室

──私は知っている。
一度だけ、社長に抱かれた夜があった。
残業が続いていた、ある深夜。
『君は、仕事熱心だな』
『……はい。社長の“熱”についていきたいんです』
そんな言葉のやり取りのあと、社長に激しく抱かれた。
熱くて、強引で、でもどこか優しさのにじんだ夜。
でも──それきり。
社長から再び誘われることはなく、私も口に出すことはなかった。
あれは一度だけの関係。そう、思っていた。
「高梨」
不意に名を呼ばれて、私はハッと我に返る。
「……はい」
「この案、進めろ」
短く、けれどはっきりとした言葉だった。
その声の奥に、あの夜と同じ熱を感じたのは──私の勘違いだろうか。
一度だけ、社長に抱かれた夜があった。
残業が続いていた、ある深夜。
『君は、仕事熱心だな』
『……はい。社長の“熱”についていきたいんです』
そんな言葉のやり取りのあと、社長に激しく抱かれた。
熱くて、強引で、でもどこか優しさのにじんだ夜。
でも──それきり。
社長から再び誘われることはなく、私も口に出すことはなかった。
あれは一度だけの関係。そう、思っていた。
「高梨」
不意に名を呼ばれて、私はハッと我に返る。
「……はい」
「この案、進めろ」
短く、けれどはっきりとした言葉だった。
その声の奥に、あの夜と同じ熱を感じたのは──私の勘違いだろうか。

