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今日も私は、お父さんとお兄ちゃんとセックスする。
第29章 真人お兄ちゃんの誕生日
 周りはスーツ姿の人たちが忙しなく歩いていて、声がかけづらい。


「……」


 まるで自分は透明人間にでもなったみたい。私がいても誰も見てくれないし、誰も気づいてくれない。


「ちょっと」


 振り返ると、スーツ姿の女性が立っていた。


「そこ、入らないならどいてくれない?」

「あっ、すみません……」


 私は慌ててその場から離れようとして、女性に肩をぶつけられてしまった。


「……っ」


 社会って怖い……。
 学校も怖かったけど、今は池本先生や沙耶がいるから、前ほどは怖くない。


 私、本当に世の中のこと何も知らないんだな……。そしてずっとお父さんやお兄ちゃんたちに守られてきたんだなって思った。


 私も玲奈さんみたいに、いつかは就職活動しなきゃいけないんだよね。一人で社会に出なきゃいけないんだよね。もしその時、お父さんやお兄ちゃんたちが私から離れてしまったら……私は一人で生きていけるんだろうか?
 

「……」


 なんだか色々考えてたら心細くなってきた。早く家に帰りたい。私が一番落ち着く場所に帰りたい。でもプレゼントは買いたい。


 私はじわっと滲み出る涙をこらえて、歩き始めた。


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