この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わたしの妄想日誌
第15章 里帰り
ホームに立つと反対側のホームに上司が立っています。お互い知らぬふりをして。今日は上司が乗る電車が先に着きました。わたしの方に背を向けて椅子に座る姿が見えました。ベルが鳴って上司をのせた電車が駅を出て行きました。
わたしはバッグから手帳を取り出すと、今日の日付けのところに小さく印をつけました。
『なんだなんだ、若者があんなかわいい嫁さんもらっておいて月イチかよ。情けないな』
いつだったか、お昼休みに上司が職場の若手社員を冷やかしていました。
『じゃあ、課長は週イチ、いや週二は励んでおられるのでしょうね』
若手社員が混ぜ返します。
『ん? 俺か? 俺はまあ、せいぜい年イチだな』
部下たちが一斉に笑いました。わたしもお愛想程度に口角を上げました。苦笑いのような貌をして口元を歪めている上司と目が合いました。
その日の夜、わたしと向かい合って繋がりながら上司は言いました。
『今日は『年イチ』で話にオチをつけたが、本当はもっと頑張っているんだぜ? たまにはシないとワイフに怪しまれるからな。まあ、キミとの回数には全く及ばんがね。何せキミは…』
上司はわたしのからだを褒める言葉を続けていましたが、わたしは目を閉じて感覚だけに意識を集めたのでした。
上司をのせた電車がカーブを曲がって暗闇に消えていくのと入れ替わるように、わたしが乗る電車がやって来ました。いつもより空いている電車に乗り込んで椅子に座りました。改めて手帳を開きます。今年最後の上司との密会を終えて、手帳に付けた小さな印を数えてみました。二十六個ありました。ふと、一年は五十二週だということを思い出しました。
二日後、わたしは実家に帰りました。出がけに駅の売店で菓子折りを買いました。帰省するときにいつも買っています。三時間ほどかかって着いた小さな駅で降り、小さなバスに揺られて家に着くと母が迎えてくれました。わたしは菓子折りを母に渡しました。上司に貰った封筒はそのままアパートに置いてきました。
「いつもありがとうね。早速みんなでいただきましょうかね」
わたしはバッグから手帳を取り出すと、今日の日付けのところに小さく印をつけました。
『なんだなんだ、若者があんなかわいい嫁さんもらっておいて月イチかよ。情けないな』
いつだったか、お昼休みに上司が職場の若手社員を冷やかしていました。
『じゃあ、課長は週イチ、いや週二は励んでおられるのでしょうね』
若手社員が混ぜ返します。
『ん? 俺か? 俺はまあ、せいぜい年イチだな』
部下たちが一斉に笑いました。わたしもお愛想程度に口角を上げました。苦笑いのような貌をして口元を歪めている上司と目が合いました。
その日の夜、わたしと向かい合って繋がりながら上司は言いました。
『今日は『年イチ』で話にオチをつけたが、本当はもっと頑張っているんだぜ? たまにはシないとワイフに怪しまれるからな。まあ、キミとの回数には全く及ばんがね。何せキミは…』
上司はわたしのからだを褒める言葉を続けていましたが、わたしは目を閉じて感覚だけに意識を集めたのでした。
上司をのせた電車がカーブを曲がって暗闇に消えていくのと入れ替わるように、わたしが乗る電車がやって来ました。いつもより空いている電車に乗り込んで椅子に座りました。改めて手帳を開きます。今年最後の上司との密会を終えて、手帳に付けた小さな印を数えてみました。二十六個ありました。ふと、一年は五十二週だということを思い出しました。
二日後、わたしは実家に帰りました。出がけに駅の売店で菓子折りを買いました。帰省するときにいつも買っています。三時間ほどかかって着いた小さな駅で降り、小さなバスに揺られて家に着くと母が迎えてくれました。わたしは菓子折りを母に渡しました。上司に貰った封筒はそのままアパートに置いてきました。
「いつもありがとうね。早速みんなでいただきましょうかね」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


