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わたしの妄想日誌
第15章 里帰り
 短大を出て就職して五年目の今年。気づけばもう一年が終わろうとしていました。年末が近づいて実家に帰るための切符を手配しました。

 「今年ももう終わりか。これで土産でも買いなさい」

 仕事納めの日、そう言って職場の上司がいくらか渡してくれました。お土産を買うには、そして帰省のための汽車賃には十分すぎるほどの額です。

 「ゆっくり羽を伸ばしてきなさい。仕事始めの日は空けておいてくれよ」
 「ありがとうございます」

 わたしは封筒を受け取って頭をさげました。そしてブラジャーのホックをとめました。

 上司は先に部屋を出ていき帳場で支払いも済ませたようです。身支度をしてわたしも玄関に向かいます。年末だからでしょうか、帳場から女将さんが玄関に出ていました。大みそかまではまだ日にちもありますが、わたしたちがここに来るのが今年は今日で最後ということは長年の経験からわかるのでしょう。

 「よいお歳を」
 
 いつもは黙って帳場に座っている女将さんなので久しぶりに声を聞きました。”来年もご贔屓に”とでも言ってもらったほうが、まだ救いもあるのでしょうが、商売っ気のない短い挨拶に、今更ながらわたしたちの不純な関係を意識させられました。

 上司は黙って手を挙げて応えると、玄関に並べられた靴を履いて出て行きます。わたしも続いてヒールに足を通します。

 「女将さんもよいお歳を」

 わたしも会釈しながら小さな声で女将さんに挨拶をして連れ込み旅館を出ました。

 (いつまで続けるつもりなの?)

 背中からそんな声が聞こえたような気がして振り向きました。女将さんは視線を落として頭を下げたままでいました。

 上司は駅に向かって歩いていきます。わたしも向かう先は同じ駅ですが、追いついて並んで歩くようなことはありません。旅館を出たら赤の他人であるかのように振舞うのはいつものこと。駅に着けば、それぞれ反対方向の電車に乗ってそれぞれの家に向かうだけです。駅までの道を歩きながら、コートの前をきっちりと閉じました。
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