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わたしの妄想日誌
第9章 秘密基地
 「きっといろいろ自主的にお勉強されていたのでしょうね」

 そんな訳がないことは百も承知でわたしもちょっとはぐらかしてみる。

 「そうそう、『お勉強』。学校じゃ教えない自主的なお勉強。いろいろお勉強したもんだよな」
 「拾ってきた雑誌を教科書にしてか? 『ひいろ』とかな」
 「ああ。やっぱり『ひいろ』がいちばんだったな」

 三人が一斉にわたしの方を見る。なにかわたしと関係があるのだろうか。

 「『ひいろ』って何ですか?」

 音からは文字が思い浮かばない。

 「『ひいろ』は”秘密の色”と書いて『秘色』。雑誌の名前だよ。なんで憶えているかと言うとね、会長がこっそり隠し持っているんだよ、今でも」
 「それを俺たち見せてもらったんだよな。奥さんが越してきた頃にさ。俺もまさか、あの頃の雑誌を会長が後生大事に隠し持っていたとは驚いたけど、もっと驚いたことがあったんだよな。なあ、会長?」
 「仕方ないな…。まあ、俺がその雑誌だけは秘密基地から持ち帰っていたわけだ。手っ取り早く言えば、その雑誌に載ってた女がよくてね…」

 会長さんが話し始める。

 「それだけかい? 会長」
 「正直に言っちまいなよ、会長」

 会長があとの二人に囃し立てられている。

 「まあ、その、なんだ。その女にさ、奥さんがよく似ていたんだよ。だから、思わずその雑誌をこいつらにも見せたんだ」
 「せっかく何十年もひとりで隠し持っていたのにな」
 「奥さんに町内会の役員になってほしいと、会長さんが熱心に口説いたのはそんなこともあったんだよな。もちろん、俺たちも同じ気持ちだったしな。奥さんは『秘色』の女よりずっと綺麗だし」

 そんな話は初めて聞いた。もっと早くに教えてくれてもよさそうだけど。

 「まあ、会長がそんなお宝を見せてくれて、とにかく俺はうれしかったぜ。見せられて俺も記憶がよみがえったんだよ。俺も、みんなもその女は好きだったってな。何ていうか、昔好きだった女にまた出逢ったような気がしたよな」
 「誰が捨てたもわからないような雑誌だったけど、その『秘色』だけは丁寧に扱ってたよな。あんな雑誌、ちょっとばかり『お勉強』に使ったらすぐにボロボロになっちまうんだけどな。だから、ここぞというときにしか持ち出さなかった。まるで観音様の御開帳みたいにな」
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