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わたしの妄想日誌
第9章 秘密基地
 開発の波に押されて、『観音さん』もいったんは撤去されるはずだったのだそうだ。けれど、それを何とか食い止めようと、会長さんが役場に掛け合い、結果、少し横にずらすだけで済むことになったという。今でも、誰かが立ち止まって手を合わせたり、花を供えたりしているし、もちろん、今の役員たちも、いつもきれいに掃除をしている。

 「いったい何を隠し込んでいたんですか?」

 男の子たちの所行を問いただすのはなんだかわくわくしてしまう。男性たちは顔を見合わせてきまり悪そうにしているが、どこか話したがっているような、そんな風情も漂わせている。

 「まあ、その、なんだ…雑誌とか」
 「まあ、そうだな。なんだか知らんがときどき空き地に捨てられてるんだよな」
 「『なんだか知らん』こともないと思うけどな」

 空き地に捨てられる雑誌と言われれば、まあ、そういう雑誌なのだろう。それを隠し込んだ”基地”なら女の子の立ち入りも許されるはずもない。男の子たちにとって、それは大事な“秘密の宝物”であり、女の子には見せられないものだったのだ。

 「でも、そういう場所って、なんだかいいですよね。男の子だけの秘密の基地だなんて。女の子にはそういう場所ってなかったような気がします」

 わたしは、いろいろ聴き出したくなって水を向ける。

 「まあ、確かに女の子は入れてもらえなかったな」
 「男だけの特別な場所だったんだよ」
 「今思うと、ちょっと悪かったなとも思うけど」
 「秘密基地を女子に踏み込まれたらどんなことになるかわかったもんじゃなかったからな」
 「思い返せば男子なんて女子に比べると発達が遅いというか」
 「アホなのは昔も今も変わらないな」

 三人が笑っている。わたしもつられて笑ってしまう。たしかに思春期手前の頃は、女子の方がお姉さんみたいな関係だったような気がする。

 「基地では何をしていたんですか?」

 ちょっと踏み込んでみる。

 「鋭い追及だね」
 「でも、まあ、仕方ないよな。男なんてそんなもんなんだし」
 「いまさら隠すような俺たちじゃないもんな。奥さんのお察しの通りですよ」

 三人の中でいちばん勉強ができたという会長がさりげなく逆襲に転じてきたみたい。『お察しの通り』なんて返されるとわたしもちょっと形勢が不利になる。
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