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大きなクリの木の下で
第16章 エピローグ

「えっと…僕たちとしては入籍届けを提出して、
それで晴れて夫婦になれればいいやと思っていたんですが…」
焦れったい話し方に静香が、たまりかねて彼の後を引き受けて話し始める。
「私もそれで良いと思っていたんですけど…
あの…お義父様が挙式をあげてけじめを付けた方がいいと仰って…」
「そりゃあ、そうでしょうとも
仮にも社主の血を引くご子息なんだ
それを機に関係各所に竹本くんを紹介したいだろうし、もちろん、その彼を支えてゆくことになる新婦も紹介したいだろう」
「最初はデカいホテルで披露宴とか言い出すものだから
それだけは勘弁してくれと…」
「そこで近所の神社で小ぢんまりとした挙式をあげることで納得してもらいました」
その方が私たちにはお似合いだし、そう言って静香は幸せそうに竹本の横顔を見つめた。
「で?ここに来たのはおのろけを私に見せつけるつもりだったのかい?」
「あ、すいません!
で、その…挙式をあげるために媒酌人が必要でして…」
「ほお~、媒酌人ねえ」
いよいよ、本題に突入したなと
飯沢がグッと身を乗り出した。
「そこで、私たちに縁の深い部長に、是非とも仲人をお願いしたいと思いまして…」
来たぁ~!!!
飯沢は心の中でガッツポーズをしながらも
平静を装って「礼子、ちょっと来なさい」と飯沢は妻の礼子を呼び出した。

