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大きなクリの木の下で
第14章 竹本伸和の正体

『えっ?では、こうやって個室の病室でのんびり出来るのも社主のおかげ?』

静香は心のモヤモヤを解消したいがために、
思いきって二人に訊ねてみた。

「あの~…竹本さんと社主はどのようなご関係なんでしょうか?」

静香の問いかけに口喧嘩していた二人の会話がピタッと止んだ。

そして、しばしの静寂のあと、これまた同じタイミングで

「親父だよ」
「息子だ」

「えっ?」

言葉が重なりあったせいで聞き取れにくかったが
確かに親子関係にあると告げたと思った。

「えっ?えっ?えっ~?!」

静香は交互に二人の男の顔を見て「えっ?」という驚きの声しか出なかった。

「なんだ、伸和、彼女に本当の事を言っていなかったのか?
お前たち、付き合っているんだろ?それぐらいはちゃんと話しておかないとダメじゃないか」

「いや、親父、ちょっと待ってくれよ
俺たちは、まだ正式にお付き合いしている訳じゃなく…」

「なんだぁ?、まだデキていなかったのか?
変だなあ…校正部の飯沢くんのレポートによるとお前とこの子がデキていると報告されているんだがな」

「部長が社主にレポート?」

「あっ!いかん!つい、口が滑ってしまった!」

口は災いの元だと部下達には口を酸っぱくするほど言っているのに、肝心の儂が暴露しちゃ不味かったかなと
社主は頭髪の薄くなった頭頂部を手のひらでベシッと音がするほど叩いた。

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