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大きなクリの木の下で
第14章 竹本伸和の正体

「今すぐにでもお茶を…」

病室を飛び出して給湯室に向かいかけた静香を大河原は呼び止める。

「茶などいらんから、あなたも妙にかしこまらないで、もうひとつのパイプ椅子に腰かけなさい」

「では失礼して着席させていただきます」

「そんなにかしこまらなくてもいいさ」と静香に言いながら
それよりも、あんたは相変わらず横柄な態度だなと
見舞いに来てくれた社主に向かって社主に負けず劣らず横柄な言葉を投げかけた。

「ふん!お前に言われたくはない!」

大河原社主は口をへの字にして竹本を睨んでいた。
いや、その眼差しはどこか慈しむようだった。

どういうこと?
大手出版社の社長なのよ?
竹本さんこそ、そんなタメ口じゃいけないわ!

社主の逆鱗に触れて降格…
いや、元より平社員だからそれはないか…
では、懲戒免職?ダメよ、この不景気な時代に職を失うなんて!

静香は座りかけた尻を浮かして直立不動の姿勢をとり、
「社主、申し訳ありません!
この者には私から重々言い聞かせておきますので!」
ベッドでふんぞり返る竹本に代わって彼女が深々と頭を下た。

「やめろよ、静香が頭を下げる事はないさ」

「そうだぞ、確かあんたは校正部のエースだろ?
言うなれば我が社の宝物じゃないか
そんなあんたが易々と頭を下げるもんじゃない」

言い合う竹本と社主…
ハラハラさせられるけれど、何だか言葉遊びの応酬みたいで愛情が感じられる。
そう、例えるなら口の悪い親子喧嘩のような…

「見舞いに来てくれたのは嬉しいけど、手ぶらで来たのかい?
校正部の部長でさえフルーツ籠を差し入れしてくれたのにさ」

「ふん!よく言うよ
こうやって個室でのんびり出来るのは誰のお陰だと思っているんだ?」

それを言われるとグウの音も出ない竹本であった。
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