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大きなクリの木の下で
第11章 薬物依存症の美代子

「すいません!大丈夫ですか?」

若い刑事が静香の体を優しく抱き起こしてくれる。
楽に呼吸が出来るようになった肺は新鮮な空気を求めてハアハアと荒い息を大丈夫かと覗き込む刑事の顔に浴びせていた。

「ふぅ~…あなたたち!
彼女はまだ療養中なんですよ
刺激を与えないでもらえますか!」

美代子のバイタルをとり、落ち着いてきたことを確認したのち、ドクターは訪問者の三人をなじった。

「いや、申し訳ない
こちらとしては何としてでも彼女から供述を得たかった訳でして…」

「不同意性交罪は親告罪ではありませんよね?
彼女の供述がなくても告訴は出来るでしょ!」

まったく!患者を何だと思っているんだ!と
ドクターは責任者でもある年輩の刑事を睨み付けた。

「いや、申し訳ない
こちらとしては犯人グループの量刑をなるべく重くしたいものでね…そのために少し無茶をしてしまいました」

警察に非があることを認め、
年輩の刑事はドクターと看護師に深々と頭を下げた。

「心から彼女の回復を願うのであれば
しばらくは彼女の面会を控えていただきますようお願いします」

そのように強い口調で早口で告げると、
看護師に向かって「君、ストレッチャーを頼む」と指示を出した。

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