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大きなクリの木の下で
第11章 薬物依存症の美代子

「あの夜…私は竹本さんの部屋に泊まろうと…
彼のアパートの前に車を停めて彼の帰りを待っていたの…」
- おっ!いいぞ!もっと聞き出してくれ -
美代子の言葉に真摯に耳を傾けている静香には
もはやイヤホンからの指示など聞こえていないのも同然だった。
「それは、彼にアポ無しで訪問したのね?」
「そう…いつもそうしていたし
突然押し掛けても彼は私を受け入れてくれたし…」
「あの人、拒むことが出来ない性分だからね」
「そしたら、路駐は迷惑だと、あの三人組が車に乗り込んできて…バチバチって火花が散る電気シェーバーみたいなものを押し付けられて…気がついたらどこかの倉庫みたいなところで…」
汚れた床に寝転がされた記憶が甦ったのか、
美代子は突然、身体中を手でホコリを振り払う仕草をし始めた。

