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大きなクリの木の下で
第11章 薬物依存症の美代子

「静香…あんたは三人の男を相手にセックスをしたことある?」

美代子の表情が不意に虚ろになった。

「さ、さあ…私は…一人のお相手で充分かな…」

「でしょ?誰もがそう思うわよね
私だってイヤだったわよ…
でもね…クスリを打たれてから、私、考えを改めたの」

「えっ?」

「好きだとか好みのタイプじゃないとか、そんなのは綺麗事よ!
クスリよ!クスリさえあれば天国に逝けるの!!」

テーブルをバンと叩いて美代子が立ち上がり、
静香の襟元に手をかけて首がモゲるのではないかというほどに揺さぶられる。

「ちょ、ちょっと美代子、落ち着いてよ」

「あんた、持ってるんでしょ?
クスリよ!クスリを打ってよ!この腕にキツイ奴を打ってほしいのよ!!」

美代子は腕の衣服を目繰り上げて痛々しいほどに紫に変色した肘の内側を静香に見せつけた。

- おい!何をやってるんだ!落ち着かせろよ!! -

うるさいわね!それどころじゃないのよ!!

耳に聞こえてくる刑事のダミ声が煩わしくて
静香はイヤホンを投げ捨てた。

「ね、クスリを打って二人で気持ちよくなりましょうよ!
ほら、覚えてるでしょ?おまんこ舐めてあげるからさあ
おっぱいも揉んであげるわよ
だからさあ、クスリを頂戴よ!」

もうこれ以上は聞かせることは出来ないと
静香はブローチを外そうとした。
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