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大きなクリの木の下で
第11章 薬物依存症の美代子

「大場さんはあちらのテーブルです」

白衣の女性が指差す方向を目で追うと
白い入院着に身を包んだ美代子が、大海原の景色を眺めていた。
海から吹き上げてくる爽やかな風に、彼女の黒髪が風になびいて衣服が入院着でなければ、それこそリゾート地でバカンスを楽しむお嬢様のようだった。

「では、雨宮さん、ここからあなたの出番です」

「えっ?事情聴取ですよね?同席されないんですか?」

「何度か試みましたよ
ですが、男性に対する恐怖心が植え付けられているのか
僕らを見ると取り乱すんです」

「だから、あんたが儂らの代わりにいろいろと彼女に聞いてもらいたいんですよ」

「聞くって?何をどう聞けばいいのかしら?」

「これを付けてもらいます
小型のインカムです、イヤホンからこちらの指示が聞こえますので…それと、大場さんの声はこの小型マイクで拾わせていただきます」

若い刑事がポケットからヒマワリの形をしたブローチを取り出した。

「失礼します」

若い刑事はヒマワリのブローチを静香の胸にセットしてくれる。
平静を装っているが、静香の胸元を覗き込むような態勢だから、その見事なデコルテを意識して顔を真っ赤にしていた。
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