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大きなクリの木の下で
第10章 リハビリテーション

「あの…」

「はい?痛いですか?」

痛い。
肩でこの痛さと言うことは、
ずっと曲げたまま固定されていた肘を伸ばす運動をする時はもっと痛いのだろうと素人でも考え付く。

でも、今は痛いとかキツイとかの苦しさよりも
背中に感じる乳房の膨らみが気になって仕方ない。

「少し、くっつきすぎじゃないですか?」

「あ、ごめんなさい、重いですか?」

「いや、そういう問題じゃなく…
その…なんていうか…部分的に気持ちよすぎて…」

「気持ちいいですか?それは良いことです
最初は誰もが痛がって凝り固まった関節をほぐすのに時間がかかるんです」

自分の乳房で男が惑わされているということに気づかないなんて、もしかして、彼女は天然のお花畑脳内なのか?

「最初にしては可動域も良好ですし
この分だと早いうちに負荷をかけても大丈夫そうですね」

さあ、次は股関節を頑張ってみましょうか?と
マッサージベッドに仰向けに寝転がるように指示される。

「大丈夫ですよ、ちゃんと介助しますから」

さあ、私の首に腕を回して抱きついてくださいねと
言われるまま、彼女に抱きついてしまう。
一生懸命に肩のマッサージをしてくれたのだろう、
彼女の首筋はじっとりと汗ばんでいた。

不思議と汗臭いという匂いはしない。
いや、それどころか、男を蕩けさせる良い芳香が立ち込めていた。
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