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大きなクリの木の下で
第10章 リハビリテーション

「その件じゃない?
じゃあ、どうして今日ここに?」
「大場美代子さんの件です
薬物の依存からかなり脱して今は落ち着いていると医者が言うので、事情聴取に伺ったのですが、どうも私たちは彼女からしたらイヤな存在らしくて私たちの顔を見ると暴れるんですよ」
「はあ…それで?」
「親友のあなたになら取り乱さずにお話を聞けるのではないかと思いましてね…
良ければ外出許可が医師から得れればご同行願いたいわけですよ」
『そうか…美代子も大変なのね…
男性恐怖症とかPTSDで普通の生活に戻れないんじゃないかしら…』
「彼女からの供述がなければ、あの三人組の拉致監禁罪や不同意性交罪、薬物不法所持等の裁判が開けないんですよ」
「まあ!あんな酷いことをしておいて、まだ罰する事が出来ないんですか?」
「ええ、憤慨されるのは当然だと思います
なにせ、日本は法治国家なので法の名の元に処罰を決定する必要がありますので…」
「そんなのおかしいわ!!」
「まあまあ、興奮なさらずに…まずは竹本さんでしたっけ?
彼への暴行罪で起訴するつもりです」
「なんにせよ、あいつらを早く刑務所に放り込んでもらわないと」
「ええ、我々は尽力するつもりです
なんにせよ、一刻も早く検察に送致したいのでご協力ください」
「わかりました、私で良ければお力になります」
「医師に確認しましたところ、あと、四、五日であなたは退院らしいので、来週にでもお時間をいただけますか?」
そっか五日もすれば退院できるのね。
私には言葉を濁したくせに、警察には軽々しく約束する医療体制に嫌気がさした。

