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大きなクリの木の下で
第10章 リハビリテーション

その頃、静香はようやく病院のベッドから起き上がれるようになっていた。
救急車を呼んで部屋のオートロックを解除したまでは覚えているが、そこから先は昏睡状態になってしまってそこから記憶がほとんど残っていなかった。
「看護師さん、私、いつまで入院なのかしら?
たぶんもう大丈夫かと思うんですけど」
ICUから一般病棟に移されて
今では早く仕事に復帰したくてウズウズしていた。
「もうしばらく様子を見させてね
低体温症で運び込まれた時は一時は危ない状態だったのよ」
「そんなにひどかったんですか?」
「低体温症で体が弱っていたせいもあるけれど、
軽い敗血症を併発していたの
体の中から菌が排出されるまでもうしばらく我慢してね」
バイ菌が体の中に?
もしかして例のディルド?
新品だからと洗浄もせずに使用してしまったせいかしら…
頑張ってバスルームからベッドに移動したから使用したままのディルドを救急隊員に見られたということはないだろうけど、
もし、事件性を考えて部屋のあちらこちらを確認されたとしたらきっとディルドの存在がバレちゃってるかも…
そんなことを思うと恥ずかしくて仕方ない。
「とにかく、一度自宅に戻って部屋を施錠したいんです」
「それなら大丈夫かと思います
救急隊が管理人さんに連絡して施錠をお願いしていましたから」
なんにせよ、しばらくはここから抜け出せそうもないのだと静香は観念した。

