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大きなクリの木の下で
第10章 リハビリテーション

病室に戻って再び退屈な時間を過ごすことになった。
面会時間になっても静香は現れない。
声だけでも聞きたいと出版社に連絡をして彼女に取り次いでもらおうと考えて、スマホの電源を入れてみたが半グレの三人組とやりあった時にスマホにも打撃を与えられたようで画面がクモの巣状にヒビが入っていて使い物にならない。
「やっぱりアナログでアドレス帳を持っていた方が良かったな…」
スマホは便利なようでも
それが壊れてしまうとすべての連絡先を失ってしまうということを今回はつくづく感じさせられた。
『静香さんどうしちまったのかなあ…
そんなに仕事が忙しいのかな?
そういえば部長も一度だけ見舞いに来てくれただけだし、
他の面々は一度も見舞いに来てくれない…
俺って校正部の一員として認められていないってことなのか?』
由里子は日勤になってから忙しいようで
何か用事を頼むとそれだけ済ませてそそくさと帰ってしまうし…
夜は例の高慢ちきなナースで手コキでも頼もうものなら険しい目付きで睨まれるものだからフェラチオを催促するなんてもっての他であった。
こうなると女性の存在のありがたさをイヤというほど味わってしまう。
『そういえば美代子はどうしているんだろう…
彼女も別の病院でまだ入院しているのだろか?』
支離滅裂な女性だけれど、人恋しくなると急に部屋に押し掛けてきてセックスの相手をさせられていたあの頃が懐かしくなった。

