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大きなクリの木の下で
第9章 由里子の家

脱衣室で由里子は慣れた手付きで竹本を裸にして行く。
健常者のパジャマや肌着とは違い、マジックテープを引き剥がすだけであっという間に全裸にされた。
「ちゃんと濡れないように養生させてもらうわね」
まだギプスを装着したままの左足と右手にラップでぐるぐる巻きにされる。
まるでちょっとしたミイラ気分を味わえた。
「さあ、これでよしと…」
いらっしゃいと、まるで幼い子が親に手を引かれるように、
竹本は彼女のいいなりになってバスルームに押し込められた。
「それに腰かけて」
そこには介護用のバスチェアが置かれていた。
「楽でしょ?」
由里子が言うように楽な姿勢で腰かけることができる。
「父が半身麻痺になったから用意したの
まさか、あなたのために一役を買って出る事になるなんて思わなかったけど」
男との入浴が嬉しいのか、由里子はいつになく饒舌だった。
「濡れてもいいように私も脱ぐわね」
そう言って由里子は一糸まとわぬ全裸になって行く。
「ちょ、ちょっとそれはまずいんじゃないですか?」
「どうして?」
由里子と二人っきりの家ならば何て事もないのだが、
この家には彼女のご両親がおられるのだから互いに全裸はまずいだろうと思った。
それに、あの母親の事だから、バスルームに顔を出さないにしても磨りガラスのドアの向こうから「お湯加減はどうですか?」なんて様子を伺いに来るかもしれなかった。

